繭
わたしは繭をつくる
肌にまといつく
冷たい風を感じたとき
わたしの吐いた
小さな息が
白く薄く
わたしを包み
真綿を延ばしたような
膜を造った
それが始まり
心にからみつく
もろもろを厭うとき
それは
なおいっそう
白く薄く
幾重にも重なり
やがては
真白い不透明さで
わたしを
覆い尽くした
それは
怠惰と
まどろみの
しとねとなった
世界は
真白い
繭の中
夢も
真白い
繭の中
もう
誰からも
わたしは
見えないだろう
わたしは
もう何も
見ないでいい
聞かないでいい
触れないでいい
感じなくていい
考えなくていい
真白い
繭の
その中で
記憶は
甘く
発酵し
鋭かった
刃でさえ
錆びてぼろぼろ
になるだろう
わたしは
呼吸を続ける
わたしは
繭をつくり続ける
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