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第43回 マレーシアの税金事情 |
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名塚紀子
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10月6日から20日までマレーシアに出張してまいりました。クレジット・プロポーザル(融資稟議書)を書くためのリスク分析と判断を効果的に行うためのセミナーです。内容的にはかなりきつかったのですが、仕事ではなく勉強とネットワーキングが趣旨であるということで、午前と午後に1回ずつお茶の時間があり、食事の時間もほぼ2時間とたっぷりあったので、いろいろな話を聞くことができました。 4年ぶりに訪れたマレーシアで感じた変化は、まず、交通手段が便利になっていること。クアラルンプールの金融街マスジット・ジャメ駅で交差する地下鉄と高架を走る電車が、それぞれ郊外への足をつないでいます。前回は工事中だったペトロナス・ツインタワーが堂々とそびえたち、その下にあるショッピング・センター、スリア・センターには洗練された料理を出すレストランと大きな紀伊國屋書店が。林真理子の『美女入門』も中国語に翻訳されてならんでいました。スターバックスもいたるところに出店しており、カフェラテの購買力平価でいくと、日本の物価の3分の1ぐらいでしょうか。しかも消費税は0%です。 銀行のクアラルンプール本店で働くオフィサーたちの年収は、延べで東京の6割ぐらいなのかなあという感触でしたが、なんといっても個人所得税の最高税率が最近1%引き下げられてたったの28%。国産車もガソリンも不動産価格も激安。人口構成が若いため、年金負担もそれほどではなく、55歳から年金支給開始。よって、マレーシアにおける早期退職プログラムは40歳代が主流。あらまあ、あたしも該当者だ。職場から駅で5つ目かつ徒歩圏内の100平米以上のプール付きコンドミニアムが1000万円ほどで手に入ります。ワーキングマザーは月3万円程度の支払いでフルタイムのメイドを雇いながら責任ある仕事を無理なくこなすことができる。今回のセミナーも決してラクなものではなかったのですが、男性と女性が半々で、そのうち2名が妊娠中。 「日本は消費税が5%で、スタバのラテが21リンギ(マレーシアは7リンギ 注:1リンギは約30円)で、所得税の最高税率の枠に入ると半分持っていかれる。その上に住民税と社会保険料もとられるし、あたしの家は都心にあるけど50平米で中古価格でも100万リンギ以上。とどめに出産するときは保険もきかないし、公立の保育園もあるけど病気のときは家で面倒をみる規則になっているしさ〜」と言うと、「よく働く気になるわね〜」と妊婦2名があきれ顔。 順調に経済発展をとげたマレー半島は治安もいいし、食べ物もおいしいし、クアラルンプールで年金暮らしもいいかなあ〜。マナーが英国流なので男性がおばさんに親切だし。女性の権利という観点から言えば、なんで日本がマレーシアに援助しているの? ということになる。 思わずクラっときて、シニア(あたしもマレーシアではシニア予備軍ですと)の永住権について聞いてみました。 マレーシアに永住したい外国人の場合は、健康保険料をまとめ払いすればおっけ〜。あるいは現在ならシルバーヘア・プログラムというのがあって、不動産をひとつ買っても永住権を取得可能。外国人の不動産取得に対する課税(levy)は撤廃されています。外国人が不動産を購入するということは、外貨を長期的にマレーシア国内に貼り付けることになるので、経済政策上好ましいという理由からです。 そうは言ってもおいしい話ばかりではありません。 まず、暑さと辛い食べ物が苦手な人は東南アジアでの生活は無理です。マレーシアで特においしいものは、とにかく辛い物です。それから長期的な為替リスクを自分でとらなければならないということ。インフレーションは生活感覚では年に5%〜10%というところでしょうか。日本人と見ると法外な値段をふっかける不動産業者。値切り交渉の技は必修科目です。JALの前売り悟空を使っても6万円弱はかかる日本との往復交通費。英語がしゃべれない人はテレビや映画も十分には楽しめない。それから、何はなくとも健康でないとね。特に胃腸が丈夫であることが重要です。最後に、税制は毎年変わるということ。お国の事情で外国為替も税制もすぐに変化します。最初に変化の犠牲になるのはヨソモノである外国人である、ということも肝に銘じておきましょう。
(2001年10月26日)
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