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クリスマスになると、たくさんの電飾を飾って、綺麗な飾り付けをする大きな家 でも、必ずその願い星はそのままだった 正月が来ても、春が来ても、夏が来ても、秋が来ても... そして、またクリスマスがやってくる そして、また取り残される願い星 それを見てから俺はクリスマスが嫌いになった ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 色とりどりの花が並ぶ花屋。あらゆる季節の花々が飾られるそこには、季節感はない。今の時代、冬でも春の花が手に入るのだ。 でも、12月は違う。 鮮やかなクリスマスツリーが飾られ、その根元には可憐な花ではない真っ赤な彩でいっぱいになる。 そして、ツリーの根元だけではなく、店先にびっしりと並べられる真っ赤な鉢植え。 「これは何?」 おっとりとした問いに店先で鉢を並べていた青年が答える。 「ポインセチア」 「綺麗な花だね」 そっけない声にはふわりとした柔らかい笑いが返って来た。青年は大きな溜息をついて笑いの主を睨んだ。 花屋に似合わない大柄な青年は、目つきも十分に怖かった。しかし、睨まれた少年は嬉しそうに微笑んでいる。 「これは花じゃないの。葉っぱ」 怖い視線を受け流し、へぇ〜と可愛い相槌が返って来る。 白いファーのついたフード付きのコートを着た少年は、青年の面倒くさそうな口調を気にする様子もなく、整然と並べられた鉢を眺めていた。 大小さまざまな鉢は、所狭しと並んで店の前を華やかに飾っていた。 真っ赤な葉をしたものを中心に、その間に白や仄かな桃色の葉も並んでいた。 それを楽しそうに眺めている少年は、高校生ぐらいの年齢だろう。 1週間ほど前に急に現れて、それから何日もこうして店先で青年の仕事ぶりを眺めている。 「見た目と違うんだね。まるで、あなたみたいだ」 的外れな感嘆の声には冷たい答えが返される。 「......お前、早く帰れよ」 「どうして?」 「子供がこんな時間まで1人でうろうろしていたら駄目だ」 「あなたはいいの?」 「俺は子供じゃない。それに今バイト中。クリスマスの花屋は忙しいんだよ」 「みたいだね。とても忙しそうに見えるよ」 少年は次々と売れていく鉢植えを眺めて寂しそうに笑った。 もう街中全てがクリスマス一色だ。少年の笑みは、その華やかな喧騒には不釣合いだ。優しい瞳を頼りなげに揺らす姿はとても儚くて、今にも消えてしまいそうだった。 桜色の愛らしい唇が、震えるように言葉を紡ぐ。 「みんな、クリスマスに何を願うんだろう」 「自分勝手な願望さ」 冷たい空気に溶けてしまいそうな掠れた問いに、吐き捨てるような言葉が返って来る。 売れてしまったポインセチアの鉢を次々に補充しながら青年が独り言のように呟いた。 「この季節だけお祝いされても、神様だって迷惑だ。...どうせ、25日を過ぎたら忘れられるのに」 青年の脳裏を過ぎるのは、寒風に晒される哀れな願い星。 ピカピカに光っていたのが日に日に曇り、ボロボロになっていった。それでもあの星はずっとあの木に吊るされて、取り外される事もなかったのだ。 見てもらえるのは僅かにクリスマスの数日間だけ。そして、その後は見向きもされない。 それなのに、外して貰う事もなく翌年には新しい飾り達と一緒にクリスマスを祝うのだ。 「あなたはお願いしないの?」 少年の問いに、青年は苦く笑う。 自分の願いはもう叶う。でも、それはクリスマスの願いでも星に願ったことでもない。 「そうだな、君が帰ってくれるのが俺のお願いだ」 そう言って口元だけで笑う青年に、クスクスと少年が愛らしく笑う。 「いいよ、そのお願い聞いてあげる。でも...」 少年はスッと身体を横に向け、青年の視線から逃げるように顔を背けた。 「でも、僕のお願いも聞いてくれる?」 消えてしまいそうな小さな声は、照れているのか迷っているのかもわからなかった。青年は小さく溜息を吐くとがりがりと頭を掻いた。 「わかった。俺にできる事なら聞いてやる。だから、遅くならないうちに家に帰れ」 少年は首だけを向け、ふわりと笑う。 「僕を連れて帰って」 15、6歳の少年とは思えない艶やかな笑み。 吸い込まれそうな瞳が、桜色の唇が、青年を捕らえてしまう。 きつい目つきを更に厳しいものにしても、眉間に深い皺を刻んでも、青年の中で否定の言葉は浮かばなかった。 名前も知らない少年 突然現れて、ジッとバイト中の自分を見つめていた見知らぬの少年 そんな子供に連れて帰ってくれと言われて、どうして断れないのか。 答えない青年に、少年はまるで誘うように、そして寂しそうに微笑んだ。 その儚い笑顔を見て、青年の中に疑問と答えが同時に生まれる。 「......今日はイブだし、遅くなるけど、いいか?」 心の中に生まれた答えを口にすると、少年は嬉しそうに笑った。 その笑顔があまりにも眩しくて、青年は目を瞠って息を飲む。 キラキラと輝くそれは夜空に輝く星のようで、木々を彩る人工の光なんて足元にも及ばない。 「平気だよ。何時まででも待ってるから。...だって、あなたの手が届くのを、もっと長い間待ってたんだもん。ずっと、ずっと、気が遠くなるほど...」 少年の言っている意味が分からなくて、青年は眉を顰める。 「俺、お前に、会ったことあったか?」 青年は、疑問も口にしてみたが、それにはただ嬉しそうな笑顔が返ってきただけだった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 今年もあの木にはたくさんの飾りが付いていた その中に、みすぼらしくなったあの願い星もあった 鮮やかなブルーの電飾の中に隠れるようにあの願い星が揺れていた でも、それも今年で最後だ 今の俺なら十分に手が届く 今日の帰りにこっそりはずしてやるんだ ずっとずっと昔から、、そう決めていた あの星に手が届くくらいに大きくなるんだ 一人ぼっちのあの願い星を助けてやるんだ それが俺の願い事 やっと叶う、クリスマスの願い事 − END − 2005.12.10 |
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如月咲良さまからいただいた クリスマスプレゼント! もう感激です!
いや〜こんな拙い絵からこんなに素敵なお話が生まれるんですね〜
咲良さま ほんと〜〜〜にありがとうございました!!
またお願いします♪(おいおい)