Safflower
「兄さんが・・・兄さんがそんなに勝手だとは思わなかったよ!!」
足音も荒く出て行く白ランの後姿。
そしてその場に残されて立ちすくむ赤い学ラン。何だか目出度そうな制服のコンビはれっきとした兄弟だった。似てないがしかも双子。(失礼)
美形しか共通点ないだろみたいな似てない兄弟である。(更に失礼)
「おのれ・・・。おのれぇぇぇっ!!」
長髪で銀髪の兄ちゃんの方が怒りの声を上げた。
寧ろ此処は何処なのだろう。(おい)
所変わって太陽学園。
「あっち向いてほ〜い。」
「くっそ〜!!また負けた〜っ!!」
ひなたとバツがまた『あっち向いてほい』をやっているようだ。
「バツ・・・。勝てないんだから諦めたら?」
「煩ぇっ!!黙ってろユウ!」
「・・・好きねえ。」
暇そうに止めるもう一人の女子高生も、本気で止めている訳でなく、飽きたかららしい。
「あ〜、つまんないわ〜。誰か通りかかりでもしないかしら・・・。」
「通りかかったらどうすんの?」
「決まってるじゃない。暇潰しに付き合ってもらうのよ。」
最悪である。
だが、ユウがそういった途端だっだっだっだっだっだっだ。と言う荒い足音が聞こえてきた。
「誰だ?」
「隼人先生?」
「将馬じゃない?」
しかも、彼らの居る教室の前で足音は止まった。
「?」
あっち向いてほいも忘れ、しばし扉に釘付けになる一同。
すると、どっかの大泥棒の三代目の仲間のコンニャクの切れない剣で切ったような感じで扉がパズルのピースのようにぶった切られた。
「うわっ!!」
「きゃっ!!」
「ひゃっ!!」
動揺の声を上げる間も無く、ユウの喉元に突きつけられるお馴染みの鋭い切っ先。
「一文字伐、泉堂有雨、若葉ひなた(五十音順)貴様等の仕業かっ!!」
「はぁ!?」
ジャスティス学園生徒会長が机とかを蹴倒した上に堂々と立っていた。
「貴様等の悪行の結果・・・恭介はっ!!」
「恭介!?な、何がどうなったの!?」
ひなたの疑問もそっちのけで、雹は憎憎しげにユウを見た。
「特にお前だ泉堂有雨!!」
偉そうに言われてユウはカチンと来たようだ。
「はぁん!?この期末試験Sランクの泉堂有雨様が何だって言うのよ!?」
「黙れ!中間試験はB(因みに及第ギリギリ)では無いか!!」
「ぐっ!!」
「しかも貴様、百メートルは13秒で有ろう!!」
「ほっとけ〜っ!!だったら何なのよ!!」
因みに13秒は岩には勝てるが、バツには勝てない記録である。無論、雹(一番早い)にも勝てない。
「そ、そうだったんだ・・・。」
「確かにアイツ、格闘以外はフツーかそれより多少上程度だしな。」
「そこっ!!無駄口叩いてるんじゃ無いわよ!!」
「ふっ、その通り!!死ね!!」
理由も何にも判らんまま白刃が閃き、ユウをぶった切ろうと・・・
ばしっ!!
「ふ、ふふふふ。」
「ほう・・・。」
真剣白刃取り。がっちりとユウは刀を自分に近づけまいと無理な姿勢を保っていた。
「やるではないか。」
「コレぐらい出来ないとね。」
内心危なかったと冷汗をかくユウ。ぐぐっと手に力が入る。と
ぱき。
「あ。」
「折れた。」
意外と脆い刀だな。
「ふっ。コレで問題ないわね。」
ドキドキしながら折れた先を放り投げ、ユウは戦闘態勢に入る。此処は教室では?
「ふっ!甘いわ!!」
何処からか再び同じ刀を取り出す雹。手品か?
「何本持ってるのよ!?」
「スペアなど幾らでも有る!!」
「只の銃刀法違反じゃねぇか。」
バツの指摘は正しい。
「・・・忘れてたわ。この人、恭介のアニキだったんだった。」
替えは有るからと聞くと、どうして同じ服がズラズラっと洋服ダンスに閉まってある光景が目に浮かぶのか不思議である。
「恭介がどうしたんだよ。」
「いや・・・何でも無いんだけど。」
「そう!恭介だ!!貴様等のせいで・・・。」
「はぁ!?」
「責任を取れ泉堂有雨。私のものになるのだ!!」
「はぁ!?」
話が飛躍しすぎて何が何やら判らない。
「おい・・・。一体何なんだよ。」
「全くよ!!」
「黙れ!!」
剣を突きつけられるので全く反論の余地が無い。
「恭介をあんな風に変えたのは貴様等だ!!特に泉堂有雨!!お前の暴挙、目に余る!!」
「アタシの一体何が暴挙だって言うのよ!!しかも死ねといったりモノになれとか訳判んないわ!!」
「た、確かに・・・。」
その時
「だ、誰だ!!公共物を破損したのは・・・!!」
ドアの前で立ちすくむのは風紀委員であった。
「恭介!!」
「ユウ!?また君か?一体どれだけ公共物を・・・」
「何でアタシなのよ!!アンタの馬鹿兄貴がぶった切ったのよ!!ってギャアッ!!」
剣が再びユウの喉元へと帰って来た。
「兄さん!?」
やっと気付いたのか。
「恭介か。」
「兄さん・・・。」
「あんた達!!アタシの置かれてる状況について何か言わんか!!メッチャ首切られそうなんだけど!!」
「そう言えば・・・。兄さん、ユウを離すんだ。」
「・・・恭介ってちょっと・・・。」
「しっ、バツ!!」
「兄さん!どうしてこんな事をするんだ!」
「黙れ!!」
何か犯罪者とその家族の会話みたいである。
「ちょっと雹クン!!何時までアタシを羽交い絞めにしてるのよ!」
「どうせ私と共に来るのだ。」
「どういうことだい、兄さん。」
「知れたこと。」
全然知れたことじゃない。
「ユウ!」
「何でアタシが知ってるのよ!」
「状況が全然解らないからだ。」
「アタシだって知らないわ〜っ!!イキナリ雹クンがそこの戸をぶった切ってアタシに責任だの何だのと言い始めたのよ!!」
「責任?まさか・・・ユウ・・・。兄さんと駆け落ちを・・・?」
「そ、そうだったのか!?」
「知らなかったよ。」
「納得するなぁぁぁっ!!何でアタシが殺されかけた人間と落ち延びにゃいかんのよーっ!!」
何か全然噛みあっていない。大丈夫なのだろうか。
「なーんだ、違うの。」
「ひなた・・・。一度ちゃんとアタシに対する間違いを正さなきゃね。」
恭介ははっとした。
「まさか兄さん・・・。あの事を・・・?」
「あの事?」
「何が有ったのよ!?」
思わず身を乗り出す双子以外。
「あぁ・・・。少し前なんだが、ちょっと有るものが届いてね。」
恭介は深刻な顔で語りだした。
「有る物って何よ。」
何かヤバげなものなのだろうか。
皆が見守る中、今度は雹が口にした。
「一つの箱だ。」
「箱?中身は?」
「水羊羹だ。」
「・・・は?」
物々しくミズヨウカン、と聞こえた気がした。
「ちょ、ちょっと・・・。ミズヨウカンって・・・あれ?羊羹の水っぽいの。」
「何か違う気がするけど、言いたいことは解るぜ。」
「それ・・・だよね。」
「他に思いつかないし・・・。」
「お中元・・・か、何か?」
恭介は頷いた。
「そう、我が家に届いたんだ。」
「あ、お盆で家に帰ってたんだ・・・。」
割と律儀だな二人とも・・・。
「それで、紅花油のセットがいい、と兄さんが言うから、僕が水羊羹を貰う事になったんだけど。」
「・・・・・・。」
何かみみっちい展開になって来た。
「水羊羹をユウと食べようと思って、楽しみにしていたのに、兄さんがいきなりそっちの方がいいとか言うんだ!!」
「・・・はあ・・・。」
「黙れ!!中元をこの女と食べようなどと万死に値するわ!!」
どっちの意味でだろうか。
「・・・・・・・。」
黙るしかない三人。
「兄さんは勝手だよ!!」
「黙れ!貴様には兄の心が解らんのか!」
「・・・雹クンでも兄の心とか有んのね。」
「このような女だぞ!?」
人に物を突きつけてはいけません。ましてや刀なんて論外ですが。
「・・・感心撤回。」
再び口論となる双子の輪から逃げてきたユウはこそこそと扉の方へと向かった。
「・・・ユウ・・・何処行くの。」
「アタシボーマンと教会に行くから。アンタ達もそこのアホな双子は放っておいて帰れば?」
「・・・そうだね。」
彼らはやはり仲が良かった。
それだけしか解らない死闘(1時間48分)だった。
後書きもどき
モエ殿にネタを頂いたので書いてみました。
雹クンが兄馬鹿ネタです。(死)
・・・何か事有る事に剣を振り回す危ない人になってしまいました・・・。あきませんな・・・。
因みに・・・Safflowerは末摘花です。紅花油の原料ですな・・・。
しかしあの家に中元送る奴ってどんなのだ。
相変わらず落ちがイマイチですね・・・。実はボーマンも結構好きです。落ちにして御免よ・・・。
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