どうも、「いろこいす」のゲームデザインを務めさせて頂きました日本ア太郎です。
ここでは、いくつかに分けて、このゲームの主な特色を説明させて頂こうと思います。
- 気が多い姫の興味移り気システム
- 男を磨く自己成長システム
- 旅情溢れる?一夜のアバンチュール
- あけすけか水面下か姫への恋文システム
- 捨てるか高めるかプライドマネジメント
1.気が多い姫の興味移り気システム
このゲームの姫は、何らかの趣味(色恋・蹴鞠・和歌・囲碁・弦楽・格式のいずれか)のコミュニティーに属しています。姫たちをあらわす12個のコマ(赤と緑でそれぞれ2〜7)は、各趣味のコミュニティに対応するタイルのうちのどれかの上にランダムで配されてゲームが始まります。
開始例
色恋コミュニティ |
蹴鞠コミュニティ |
和歌コミュニティ |
囲碁コミュニティ |
弦楽コミュニティ |
格式コミュニティ |
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ゲームが始まるとラウンド毎に、興味カードという各コミュニティーの示すいずれかの趣味に対応するカードが、場にプレイヤー人数×2枚並べられます。興味カードには、先述の6種類の趣味のいずれかを示すマークが1〜3個描かれています。
これらのカードを、ロチェスタードラフト方式(一周したら反対周りに折り返す俗に言うカタン方式)で順番に取っていくことで、毎ラウンド各プレイヤーは2枚ずつ手に入れることになります。
姫を落とさんとする殿方であるところのプレイヤーたちは、手に入れた2枚の興味カードのうち、いずれか1枚をこのラウンドどの趣味のコミュニティを訪れるか(=「場所」)として消費し、もう1枚をそのコミュニティにいる姫のうちの誰かに何の趣味に関する話でアプローチするか(=「話題」)として使用します。

例えば、「蹴鞠」と「囲碁」の興味カードを手に入れたとしましょう。
そのプレイヤーは、「蹴鞠」のコミュニティーを訪れてそこにいるいずれかの姫に「囲碁」の話でアプローチするか、「囲碁」のコミュニティーを訪れてそこにいるいずれかの姫に「蹴鞠」の話でアプローチするかが、選べるわけです。
話しかけられた姫は貴方に対する好感度があがるのですが、それだけではなく、話題となった趣味に対する好奇心も芽生えます。自身に「話題」として使われた興味カードの累積で、同じ興味マークが4個以上貯まった姫は、興味が目移りして新たにその貯まった興味マークが示す趣味のコミュニティに移動してしまいます。
「7」の姫が囲碁コミュニティから蹴鞠コミュニティに移動した場合
色恋コミュニティ |
蹴鞠コミュニティ |
和歌コミュニティ |
囲碁コミュニティ |
弦楽コミュニティ |
格式コミュニティ |
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この姫の移動の意味が、このゲームのキモの1つです。ゲームは基本的には上記で説明した「興味カードドラフト」→「姫へのアプローチ」を繰り返すことで進行し、そのラウンドを12回(1年を示す)行って終了します。最終的に、各プレイヤーは自分が一番うまくアプローチできていた姫たちを見事ゲットしたことになり点数を得るのですが、姫の価値は3パターンに分かれるのです。具体的にはコミュニティごとに下記のようになります。
そのコミュニティで単独で最も魅力度の高い姫・・・8点
そのコミュニティで単独で最も魅力度の低い姫・・・4点
どちらでもない姫・・・6点
姫の魅力度は2から7まであるのですが、例えば、魅力度7の姫と6の姫と5の姫がいるコミュニティでは、7の姫が8点、5の姫が4点、6の姫は6点となります。同様に、魅力度4の姫と3の姫と2の姫がいるコミュニティでは、4の姫が8点、2の姫が4点、3の姫は6点となります。つまり、魅力度はそれほど高くなくとも、存在するコミュニティで相対的に高ければ、点数は絶対的に魅力度の高い姫にひけをとりません。
(ちなみに、上図の例では、蹴鞠コミュニティでは、単独で最も魅力の高い姫はいないため8点になる姫は無し、単独で最も魅力度の低い「5」は4点、他の「7」「7」「6」は全て6点となります。囲碁コミュニティでは、単独で最も魅力の高い「5」は8点、単独で最も魅力の低い「3」は4点、そのほかに姫はいないため6点になる姫は無しとなります)
要は、それぞれの姫がどのコミュニティに属してゲーム終了するか(他にどのくらいの魅力度の姫がいるコミュニティで終了するか)が重要なわけです。見目麗しかろうがなかろうが、紅一点であれば羨望の的なのです!
逆に言えばプレイヤーにとっては、単に魅力度の高い姫に猪突猛進するのではなく、どの姫を移り気させてどのコミュニティに移動させるかも思案のしどころです。その際は、色恋コミュニティの姫は二股が可能であり、格式コミュニティの姫は身分が低い殿方は相手にしないなどの要素にも留意が必要になってくるでしょう。
2.男を磨く自己成長システム
プレイヤーが毎ラウンド2枚手に入れることになる興味カードには、興味マークの他に品性マークという印も0〜2個も描かれています。
獲得した2枚の興味カードの品性マークの合計数によって、あなたは自分(の担当している殿方)を成長させることができます。成長する分野は品性マークの合計数によって下記のパターンに分かれています。
数 | 成長分野 | 内容概略 |
0 | フットワーク | より多くの姫にアプローチすることができるようになる。 |
1 | アバンチュール | 市井の女性と行き摺りの恋を経験し、直接点数が増える。 |
2 | ファッション | 同じ姫に対するアプローチ度合いが他のプレイヤーと同じ時に勝てるようになる。 |
フレンドリー | おおっぴらに送ることができる手紙の数が増える。 |
3 | ハート | 過去のアバンチュールを清算して姫への操を立てる時の効果が高まる。 |
ムード | 姫の本命になれなくても点数がもらえるようになる。 |
4 | ステイタス | 身分があがり、格式コミュニティの姫の反応が良くなる。 |
※↑同じ「数」の欄に2種類の成長分野がある場合は、いずれか1つを選びます。
それぞれの成長は何が何より有利ということはなく、ゲームの展開やプレイヤーの戦略によって必要なものも変わってきますが、品性マークは1枚の興味カードに付き0〜2個ですから、合計の平均値に近い2の成長は得やすく、組み合わせ的に0や4などの端の数の成長ほど得がたいものであること(下表参照)がわかると思います。
数 | 品性マーク数の組み合わせ | 確率 |
0 | 【0】【0】 | 約11% |
1 | 【0】【1】/【1】【0】 | 約22% |
2 | 【0】【2】/【1】【1】/【2】【0】 | 約33% |
3 | 【1】【2】/【2】【1】 | 約22% |
4 | 【2】【2】 | 約11% |
興味カードを選び獲る時は、興味マークの種類(色恋・蹴鞠・和歌・囲碁・弦楽・格式)や数だけでなく、品性マークの数も考慮して選ぶ必要があるのが悩ましいところとなります。自分(の担当する殿方)をどのように成長させて今後の展開に備えるかを見据えて、効果的に選びましょう。
3.旅情溢れる?一夜のアバンチュール
先述の成長分野で「アバンチュール」の獲得に該当した場合は、京都・奈良・大宰府・平泉のいずれかを選び、該当するホットスポットタイル上からトークン(=その地方での行き摺りの恋の相手を示す)を獲得します。そしてゲーム終了時、各ホットスポットタイル上に残っているトークンの数によって、獲得したトークンの価値が3パターンに分かれます。具体的には下記のようになります。
単独で最もタイル上の残数が多い地方のトークン・・・3点
単独で最もタイル上の残数が少ない地方のトークン・・・1点
どちらでもない地方のトークン・・・2点
より経験できたプレイヤーが少ない地方での逢瀬ほど価値があるということですね。
そして実は、それぞれの地方のトークンは、前項で説明した成長時にプレイヤーが獲得して成長レベルを示すトークンをも兼ねています(=アバンチュール以外の成長時も、トークンはホットスポットタイル上から獲得しプレイヤータイルの所定の場所に置く)。成長分野とアバンチュール先の地方のトークン共用の対応は下表のようになっています。
ファッション |
フレンドリー |
ハート |
ムード |
京都 | 奈良 | 大宰府 | 平泉 |
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これが何を意味するかと言うと、より成長で選ばれる人気の成長分野のトークンを兼ねている地方のトークンは減りが激しく、そうでない地方のトークンは最後まで多く残っている可能性が高い(=アバンチュール的には狙い目)、ということになるわけです。その辺の相関関係も、プレイ展開によりどのトークンが狙われるかの機微に合わせ、あなたの戦略の一端に考慮する価値があるでしょう。
4.あけすけか水面下か!?姫への恋文システム
このゲームでプレイヤーが毎ラウンド手に入れることができるリソースに、興味カードの他に文(ふみ)カードというものがあります。
これは主に意中の姫に送る恋文を示しており、プレイヤーは獲得した文(ふみ)カードを公開することによって、該当する姫にアプローチした時の効果を増幅させることができます。
しかし恋とは表沙汰で行われるものばかりではありません。プレイヤーは姫への文(ふみ)カードを公開しないままゲーム終了時まで持っていることもできます。そうすることにより、最終的なその枚数をプレイヤー同士で比べ、姫ごとに最も多かったプレイヤーは追加で該当の姫に最後に1回アプローチができることになるのです。これは皆から隠れて姫と水面下で連絡を取り続けていたことを示します。現実の恋愛模様でもよくあることですね。「え!お前いつの間にあの子と!(泣)」みたいな。これにより思わぬ逆転劇が発生することもあり、姫の争奪戦は最後まで予断を許しません。
手紙による姫との交流を公然のものとするか秘密裏にあたためるか、恋の方針はあなた次第です。

しかも、これまたこのゲームのキモの1つなのですが、それぞれの姫への手紙を示す文(ふみ)カードは、それぞれ姫の魅力度の枚数だけ存在します(魅力度2の姫は2枚、3の姫は3枚、4の姫は4枚、etc...)。ですので、魅力度の低い姫への手紙の枚数で最多を獲ることは容易ですが、魅力度の高い姫の最多を獲ることは容易ではありません。まさに1票の重みの格差があるわけです。魅力的で言い寄られ慣れしている女性ほど1通の手紙で揺り動かされる心の振り幅が少ないということですね。多数に埋もれるリスクを甘んじて魅力度の高い姫に手紙を書くか、1通の効果の大きさを期待して魅力度の低い姫に手紙を書くかの選択も、あなたを悩ますことでしょう。
(そしてこのコンポーネント枚数の特徴のために、期せずしてドメモもプレイすることもできますので、重苦しい恋愛ゲームの合間になどお楽しみください(笑)。なお「1」の札は、他の文(ふみ)カードにて代用可能です)
文(ふみ)カードには他にも姉や妹への手紙を示す、《姉君への便り》《妹君への便り》というものがあります。これらのカードにも同じように、公開した場合と公開せずに保持したままゲームを終了した場合で別々の効果があります。
公開した場合、《姉君への便り》であれば、プレイヤーが興味カードを「場所」として出してコミュニティを訪れる時、訪れるコミュニティを興味カードが示すものから1歩「色恋」側にずれることができます。姉の薫陶を受けて自分の知らない趣味のコミュニティへも足が向くようになるというわけです。《妹君への便り》であれば、逆に「格式」側に1歩ずれることができます。妹の興味をダシに使って自分には縁遠いコミュニティにも行ってみるというわけです。いずれにせよ世代の違う層とのコミュニケーションは異文化を知るのに役立つということで、獲得した興味カード以外の「場所」選択肢が可能になりプレイに自由度が増すといった按配です。
逆に公開しなかった場合、これは人知れず姉妹との交流を温めていたということで、最後に単独でそれぞれ最も多くの《姉君への便り》または《妹君への便り》を持っていたプレイヤーは、禁断の近親愛の点数としてその枚数×2点を獲得します。このゲームでは、愛さえ得られればバーリ・トゥード(なんでもあり)なのです。灯台下暗し。姫ではなく身内にこそ最愛の人がいるのかも知れません。
5.捨てるか高めるか!?プライドマネジメント
ゲームを進めていると、プライドマーカーというリソースを獲得することがあります。具体的には、決まったラウンドに自分が一番うまくアプローチしている姫の数だけプライドマーカーを獲得するという機会と、いずれかの姫へのアプローチが一定ラインに達する毎に1つプライドマーカーを獲得するという機会があります。いずれにしろ自分に自信がついたら手に入るわけですね。
このマーカーの示すプライドというものは現実よろしくゲーム中でも曲者で、様々な側面があります。捨てたり高めたり維持したりするといった行為に合わせて得られる各効能は下記です。
捨てることで、望む方向に成長できる(成長分野を決める品性マーク合計数を±1できる)。
維持している数だけ、姫を選り好みできる(プライドマーカーの数だけ書カードを引いて選べる枚数が増える)。
高いと、魅力度の低い姫へのアプローチがしにくくなる(プライドマーカーの数より魅力度が低い姫へのアプローチはペナルティが付く)。
最後に就いている身分の高さに応じて点数になる(身分が高ければ高いほどプライドマーカー1つの点数が高くなるが、身分が低すぎるとあるだけマイナス点になる)。
プライドは高ければ高いほど良いというものではなく、身の丈もそれに合わせなければ足を引っ張る要素にもなり得るわけです。それを踏まえてゲーム中はプライドを上下させ、うまくプレイに活かしてください。
以上のように、多彩で楽しい特色を備えておりますので、もみあゲームズが満を持してお贈りする「いろこいす」ぜひ御堪能ください。
●公開日 : 09/04/12 ●推奨 : IE5.0/SVGA/HighColor以上 ●著作権保持
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