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◎ デザイナーズノート


 どうも、「いろこいす」のゲームデザインを務めさせて頂きました日本ア太郎です。
 このところ「
SWEET×SWEET aWAY」、「まんじゅうこわい」といったライトゲームを連続して創っていたこともあり、「プエルトリコ」のようなストイックながらも多様性のある展開が見込める中量級ゲームが創りたいという、わたし本来の持つゲーマーズゲーム作成欲が高まっておりました。そのような気持ちもあるところに、イタリア人のフェロモンを持つと評されたプレイボーイの北千住ハギオさん(仮名)の恋愛談義を聞いて生まれたのがこのゲームです。

 北千住ハギオさんのテーゼはドギツイものでした。
 「女は存在するコミュニティで価値が変わる。女が少ないコミュニティでは、それなりの女でも大事に扱われるが、いい女の多いコミュニティでは並クラスの女の扱いは急にぞんざいになる。そして真にいい女は、どのコミュニティにいても男達によって話題を提供されるため、色々な知識を身につけ興味も移り変わり、ひとところに留まらずコミュニティを渡り歩く。そして渡り歩いた先のコミュニティでまた、男たちへの磁力を発揮し続けるのだ。その女よりいい女のいるコミュニティにぶつかるまでね」

 女性やフェミニストが聞いたら卒倒しそうな発言ですが、私は別の意味でガガーンと来ていました。こんな話を聞いてゲームデザイナー魂が騒がないはずはありません。需要と供給、流動性と価値の変動。まさにゲームに打ってつけの題材ではないですか!
 私はこのアイデアを以って、「いろこいす」のプロトタイプであり現代をテーマとした「男と女のラフゲーム」を試作しました。これは当初から、男子のアプローチによるコミュニティ間の女子の移り変わり、またコミュニティ内女子の相対評価による最終価値変動等の要素が生きた、面白いエンジンを持ったゲームとなりました。しかし、いくらゲームとは言え、プレイボーイの言葉そのままを再現したこの作品は、世に出したらカドが立ちまくりな雰囲気にも満ち溢れていました(笑)。娯楽性を高めるため、恋愛モノと銘打ちつつも純愛ではなく二股三股およびビバリーヒルズ高校白書並のとっかえひっかえ上等になっておりますし、「港」「駅前」「夜の街」などのエリアで一夜のアバンチュール相手をゲットする副得点源など不謹慎な雰囲気もプンプンでした。それらを笑ってプレイしてもらえればそれでいいのですが、世の中そういう環境だけとも限りません。一時はお蔵入りにしようかとも考えたのですが、ゲームマーケット2008の帰りに、複数のお客さんから発せられる、
 「最近の風潮として、同人ゲーム界もライトゲームばかり出てきていて、ちょっと物足りない。そろそろ歯ごたえのある奥の深いゲームが欲しい」

という声を聞き、であればやはり万難を排し、今こそこのゲームを出すべきだと確信したのでした。そうです、「男と女のラフゲーム」は、現実の恋愛模様や男女関係のドロドロ宜しく、様々な要素が巧妙に絡み合い様々な戦略のとれる、まさにゲーマーズゲームとして精製されていたのです。

 そこで私はこのゲームの時代背景を、恋多き平安時代(多少の漁色なら許されそうな雰囲気の舞台)に変更し、各要素を転換していきました。先に述べたナンパスポットは「京都」「奈良」「大宰府」などの旅先の古都にして行き摺りの恋の雰囲気に、コミュニティは「音楽」「スポーツ」「ゲーム」「同人」「セレブ」などから「弦楽」「蹴鞠」「囲碁」「和歌」「格式」などの当時の趣味・教養に(ただし男子の能力レベルの呼称は、ゲーム中のパラメータとして呼びやすいように、あえて「ファッション」「ハート」「フットワーク」などのままにしておきました)。そして折角平安時代を舞台にしたので身分の要素(「少納言」から「太政大臣」へと昇る権力の階段)や文学作品の要素(「土佐日記」「源氏物語」「古今和歌集」「大鏡」等)も加えてテストプレイとバランス取り、ルールの洗練を繰り返し(北海道のゲームサークル『アスガルド』様のプレイチェックサービスにもご協力頂きました。ありがとうございました)、ゲームマーケット2009にて発売できる見込みとなったのが、今作「
いろこいす」です。

プレイヤーが奪い合いをする姫君たち総勢12名 (illustration by とべないぼうし)

 テーマの軽薄さ(笑)に反して中身はゲーム性溢れるゲーマーズゲームとなっておりますので、本腰を入れての繰り返しの堪能に耐え得る作品となったと自負しております。もちろんルール難易度がいたずらに高いわけではなく、最初に覚える必要があるのは簡単なことのみで、ゲームの根幹自体もシンプルな処理の繰り返しであるものの、プレイしながら知っていくことで取れる戦略の幅が増えていく要素があるようにデザインしてあります。ゲーム初心者のかたもテーマに笑いながらプレイして頂ければ順次奥深い作戦を取れるようになっておりますので、怖がらずにぜひ敷居を跨いでみてください。また、イラストもテーマの陰惨さ(笑)を払拭するほどの爽やかで美麗なデザインを、イラストレーターのとべないぼうしさんに手がけて頂いたこともあり、出色の出来です。
 「
いろこいす」、もみあゲームズが満を持して放つ、価値ある大作となっておりますので、是非とも宜しくお楽しみください。
(2009/03/28 日本ア太郎)

P.S.平安時代のゲームは初めてだろうと思っていたら、構想中に「GENJI」というゲームがカナダのゲームデザイナーの方により発売されてしまいました(笑)。シンクロニシティなことに同様に12人の姫君の獲得を狙うゲームのようですが、全く別物ですのでご心配なく。日本代表として負けていられない意気込みです


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●公開日 : 09/03/28  ●推奨 : IE5.0/SVGA/HighColor以上  ●著作権保持 : © 2009 もみあゲームズ