アテネオリンピック 〜競技編〜 [04.09.11]


 アテネオリンピックでは、事前に予想された以上の好成績をあげられた。
開会直後に、日本人選手団が最初に登場した種目が柔道であったこと(正確には射撃系の種目があったが)。そこで、実力者二人が金メダルを取ったことで柔道種目の他の選手に勇気を与えたことだろう。
 同時期に行われた水泳種目では、北島選手が金メダル二つを順調に取ったことが勢いをつけた。チームのリーダー的選手がいろいろなプレッシャーに打ち勝って、まずは一つ金を取ったこと。さらにもう一つ、得意種目でも金を取ったことが、さらに勢いをつけたことは間違いない。

 女子レスリングの結果も賞賛すべき成績であった(ただし、この種目を実況したアナウンサー《どこの局のアナウンサーかは知らないが》は、レベルが低かった。アナウンサーは絶叫してるだけ。解説者は、ひたすら審判の判定におかしいというだけで。
 当たり前のことだが、解説者には解説を求められているのにも拘らず、
「この判定はおかしい」
としか言わない。身びいきもあるから、この判定はおかしいというところまでは許されるだろう。ただ、どのような判定基準があって、それに反している可能性があったなら、そのあたりの規則の説明をして欲しい。また、実際には相手にポイントが入ったり、相手側がコーションンを受けなかったことについて、審判団が、どのような理由で、相手側有利の判断を下したのかを解説して欲しかったと思う。

 その傾向は、男子レスリングになると、もっと酷くなっていた。もっと素直に負けは負けと、放送する人達は冷静に判断して欲しかったと思う。同じレスリングで、女子は参加四選手が全員メダルを獲得したのに比べ、男子選手は銅二つに終わった。かつてはメダル量産種目だったのだが。今回に関して言えば、女子勢は、初めての公式種目ということもあって、しかも、過去の世界選手権で金メダルを取っている選手たちだったからこそ、メダルへの執念が強かったのかなと思う。女子代表選手4人のうち3人までが中京大学の選手であることも見逃せない。除く一人は浜口京子で、ここは親がスパルタ式指導で鍛え上げてきたわけで、結果は良かったが指導者層の薄いのではないかが気になる。男子陣に関しては、選手の育成システムが機能しているのかどうかが気になるところだ。マイナースポーツでは、やはり強化費が出ないし、ジュニアレベルからの育成システムがなければ、オリンピックレベルの選手の育成は難しそうだ。

 他にも、個人種目でダルを取ってくれた選手もいる。野口、室伏。陸上種目で2個の金もすばらしかった。

 一方で、団体種目が思ったほどの成果を挙げられなかったのは残念だ。思惑通りに結果を出したのは、体操男子団体くらいかな。個人種目より団体でのメダルを優先した選手起用が当たったと思う。とはいえ、純粋な団体競技ともいえないかなぁと思う。シンクロは、ロシアを追い続けたものの、結局、納得の演技をしても届かないほどの差があるとしかいえない状況ではあった。しかし、持てる力を出し切ったという意味では上出来なのだろう。


 作戦負けと言っていい種目としては、野球、ソフト、バレーが挙げられるだろう。球技種目は全般に裏切られた。

 野球に関しては、首脳陣は、全勝で予選一位通過を目指していたようだが、予選リーグは、通過しさえすれば良く、ただ、他のチームの通過順位によって、準決勝をどこと対戦するかを考えた上で、負け試合を設定して戦うべきだったのだろう。まぁ、この点に関しては、オーストラリアチームが、思惑通りに準決勝の相手を選べるチャンスが来たとしか言いようがない。
 オーストラリアは野手のレベルは高くはないが、投手はアメリカのマイナーリーグの投手を擁していて、その起用法が日本戦に見事に嵌ったとしか言いようがない。予選リーグの最終戦で、敢えてカナダに負けて4位通過して、準決勝をキューバを避け、戦いやすい日本 を選んだ。選べるチャンスがオーストラリアにあったというところが味噌だったのかもしれない。

 ソフトボールは、そもそも強化の方向を間違えたのではないかと思う。狙う相手は唯一つ、アメリカだけに焦点を当ててきた。しかし、2年前に、より得点を取り合えるように投本間の距離を伸ばす規則改正があって、以前よりは若干打撃陣に有利なルール改正があったにも拘らず、日本はひたすら守備と投手陣を鍛えることで、1対0で勝つ野球を志向した。ところが、守備陣は肝心なところでミスが出る一方、打撃はあまりに貧弱だった。投手陣は、やはり投本間の距離が伸びたことの影響から、かつてのような威力を発揮できなかった。
 さらにいえば、前回から4年経って、主力メンバーが変わっておらず、若手が伸びていなかったのが痛かった。

 同じ球技でもサッカーも男女は、まだしも救われる部分があったと思う。男子の場合、最終的な結果を見ても、やはり予選グループが、いわゆる、死のグループであったといわざるを得ないだろう。ただ、その中で、得点力だけは立派だったと思う。それに反して、守備がお粗末だったとしか言いようがない。オーバーエージ枠で高原が召集できなくなったのなら、変わりにDFにオーバーエージ枠を使えなかったのだろうか。
 たしかに、闘莉王選手は積極的に攻めにも出るし、声も出るし闘志むき出しのいい選手ではあるが、前に出た後のDF陣の薄さを突かれる弱みがあって、しかも冷静さに欠ける部分があったので、中澤あたりをオーバーエージ枠で使いたかったところだ。とはいえ、アジアカップで疲れている選手を招集するわけにもいかなかったのだろう。
 小野が、結局、このチームの中で、うまくフィットしなかったというのも敗因かもしれない。

 女子サッカーについては、よくやったなぁと思う。一時、女子ホッケーがお金がなくて、ということで、芸能人やらが応援し、資金援助を行ったりしたが、女子ホッケーは協会にお金がなくて、強化策が取れなかっただけで、選手たちは、学生は除いても、他の選手は、社会人チームに所属している。ということは、少なくとも生活できる給料はもらっているのだ。だが、女子サッカーはクラブチームなのだ。チームに所属していても、給料が出るわけではないので、生活費は、別途アルバイトなどで稼がなくてはならない立場なのである。
 それでも、優勝したアメリカといい勝負ができた。決定力不足が目立ったものの。もう少し練習に専念できる環境を整えれば、もっとパスワークにしても、シュートにしても精度は高まるだろう。サッカー協会は金がない団体ではないのだから何とかして欲しかったところだ。いっそ、Jリーグ加盟チームに、ユースチームを持たせるのと同様、女子チームを持たせてはどうだろうか。2,3チームで一チームでもいいから、女子のプロリーグを持てば、かなり戦力UP出来るのではないかと思う。

 もっと対照的な存在は、女子バレーである。スポーツとして国内でも人気があって、企業に所属していて、収入は十分プロ並に高級をもらっているのである。正直言って、今の実力で、メダルに届くはずがないのに、オリンピック出場権をかけた最終予選で思わぬ好成績を収めたばかりにすっかりその気になってしまった。しかし、すでに出場権を獲得している強豪チームはそこには出ていないのだし、日本よりランキングが上のチームでも、出場国を考えれば、一位ではないにしろ、出場権を獲得できる見込みはあった上で、敢えて、全てを見せずに戦っていたような気がする。
 そして、その後の各国を回るGPで、他のチームは、チーム力やプレーの精度を上げていく努力をしたのに対し、日本は手の内を隠すという名目で、スタメンをいじったり、やってないプレーをやったりして、負け癖をつけてしまった。もうワンランク上の力をつけるためには、ベストメンバーで、プレーの精度を上げる必要があったのに、固定しないメンバーで戦ったために、負け続けたことが、結局若手が多いチームで混乱を招いてしまったのではないだろうか。
 さらにいえば、バレー界は、主要な大会を国内に招致して行っている。協会の金の力なのだろうか。だが、これもマイナスに働いていると思う。オリンピックはアウェーで行われるものである。国内で熱狂的な応援の力で勝つのではなく、アウェーの厳しい状況で勝ってこそ、本当の意味での実力がつくのではないかと思う。金があるなら、是非とも、もっともっと、海外遠征で真剣勝負をしてきてもらいたいものだ。その経験を生かして、海外の大会でオリンピック出場権を得られるようになって、初めてメダル獲得のチャンスが生まれるのではないだろうか。

 などと、素人が偉そうなことを言うべきでないことは分かっている。また、ここに取り上げなかった種目で活躍した選手も多い。ただ、TV中継で見ていないこともあって、あえてコメントしないこととした。ただ、個人的には、勝っても負けても、オリンピックという大舞台で精一杯頑張ってくれた選手たちに、心から拍手を送りたいし、更なる精進を期待したい。多くの感動をありがとうと伝えたい次第である。

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