夏・甲子園 [04.08.29]


 今年の夏は、特に暑いと言われていた。熱中症になる選手が出なければいいのだけれどと思っていたが、案の定、済美高校のエースが倒れるという事態が起こってしまった。ただ、運のいいことに、雨で試合が順延になり、なんとか欠場せずに試合に出続けられたのは、不幸中の幸いであった。

 夏の甲子園は、暑さとスケジュールの厳しさから、複数の実力がある投手を持つチームが有利だろうといわれていたが、どこのチームにも二番手以降のピッチャーに決め手を欠く一方で、打線は極めて強力で、少し力の劣るピッチャーは打線の餌食になってしまった。

 惜しかったのは東北高校だろう。ダルビッシュ投手は確かに優れた投手ではあったが、二番手の真壁投手も他のチームならばエースだったとしても不思議ではない実力の持ち主であった。にも拘らず、県予選の準決勝以降、甲子園での試合でも、全てダルビッシュの先発に終始してしまった。もう少し投手起用に工夫があれば、もう一段上に来れただろう。

 好投手と前評判が高かった投手を擁したチームは、結局のところ、その投手頼みで、二番手以降のリリーフがいなくて敗退していった。つまり、打撃が好調なチームが勝ち上がることが出来たという結果だった。

 決勝は、済美対駒大苫小牧。この組み合わせで、投打のバランスが優れているのは、誰がどう考えても済美だった。ただ、駒大苫小牧にも勝機はあった。済美のエースは、一度熱中症で倒れるほどのダメージを受けている。駒大苫小牧は、複数の投手を擁しながらも、誰も確実に相手を抑えきる能力はない。そんな中でも、勝ち上がってきたのは、打力があったからだ。味方の投手が打たれて、失点を許すのは織り込み済み。それでも、相手より1点でも多くとれば勝てる。その意識が徹底できていた分だけ、駒大苫小牧が上回れたのではないかと思う。

 済美の方は、主戦投手が、そこそこいい投手だったから、打線が大量点を取れば勝てるという意識があったと思う。ところが、実際には何点とっても追いつかれてしまう。そんなゲームは経験がなかっただろう。戸惑っているうちに、ゲームが終わってしまった感じなのではないだろうか。

 正直言って、駒大苫小牧の投手力は弱いチームだった。エース格のピッチャーでさえ、相手打線を抑えきることが出来なかった。ただ、打たれても打たれても、へこたれることなく、味方打線を信じて投げ切ったのが良かった。

 かつて、大会優勝旗が「白河の関」を越えることが、あの地方の関係者の夢だった。それがいきなり津軽海峡を越えたというのは快挙である。そのことが、
「ならば、うちの県、地方でも優勝できるのではないか」
という思いを多くの関係者にもたらしたとすれば、今まで勝てないとか弱いと思われていた地域のチームにも優勝の可能性があることを示したという意味で、野球界の裾野を広げる役割を果たしたといえるだろう。


 個人的につぼに嵌ったのは、閉会式で挨拶した、審判部長やら大会委員長だけでなく、閉会式の進行の場内アナウンサーまでも、微妙に噛んでしまった「コマダイトマコマイ」という校名の言いにくさであった。

 嘘だと思うなら、いっぺん試してみて欲しい。予行練習なしに「コマダイトマコマイ」ってナチュラルスピードで、繰り返して言ってみて欲しい。

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