2003年12月 No.9

1B(バーツ)=3円位 HOMEに戻る

宿の前の道を右に行くか左に行くかで今日の一日が決まる。

今日は左に行った。

その道は立派な建物のBuddha View Dive Resort(スキューバーダイビングの学校)へと続く道だ。

まだ12月だから本格的にはやっていないようだったが日本の人を何人か見かけた。

夕方、その道を通って宿に向かっているのだが、まだ宿にいくには早すぎる気がする。

でももう寄り道する所はない。

そんな気分の時、大きな看板が目に入る。

Half moon party 

宿が決まっている私はバンガロウかレストランの看板は気にもしていなかった。

しかし今、あまりにも暇だったのだろう。バンガロウでもなんでもいいから見てみようと思った。

その看板の矢印の方向に曲がる。

といっても小さな道を曲がっただけ。

きっとまたこの山道をずっと歩いていくのだろうと思っていた。

しかし2分もしない内にその入口らしき所に来てしまった。

そこに広がっていたものはバンガロウでもレストランでもない。

不思議な空間。

森の木々に囲まれたそこは、以前ここでサーカスでもやっていたのかと思わせる小屋のようなものがありその周りには舞台装飾かと思わせる装飾品がそのまま放置されている。

今日の午後ここでパーティーがあるよと言われても納得してしまいそうになる。

ただ、傾き、草木の中に埋もれ、垂れ下がる糸が伸び、からまっている事と、誰もいないことを除けば・・・

一人その真ん中の空間に居るとおどけながらショーをやる者達と人々の声がザワザワと聞こえるような気がする。

今にもピエロが飛び出して来そう。

夢中になって写真を撮る。

こんなに夢中になったのは久々かもしれない。

まるで以前からこういう空間を求めていたような感じだ。

自然の中に置かれた幾何学的な形。
くもの巣のように垂れ下がった糸。
昨日まで客にお酒を出していたような
カウンター。

何故このままなんだろうと思いながらもここを見つけた事が嬉しかった

何度も何度もここに来て写真を撮った。

いろいろな時間帯で光が微妙に変わるから周りの景観も変わる。

日の沈む頃に空や木々の色の変わるのを待ち、この場所がまるで照明装置によって雰囲気が劇的に変わっていくだろうと期待し2時間近くも蚊に刺されながらこの場所の中央にジーッと座って周りを見渡す。

しかしその日は、すぐ真っ暗になっただけで大した変化はなかった。

何箇所も蚊にさされて膨れた足と手と顔を掻きながら惨めにトボトボと帰った事もあった。

夕方静かにしていると時々フクロウ?のなく声が聞こえる。

ホー  ホー  とそれが凄く大きく低く響く。

森の中でなにやらガサゴソと音がした。

これはちょっと怖かった。

何故私はここが好きなのだろう。

昔からサーカスの感じとピエロが好きだ。

廃墟のようなもの、影が好きだ。

舞台裏のようなものも好きだ。

幾何学的模様も好きだ。

糸や蜘蛛の巣や有刺鉄線になぜか引かれる。

円の真ん中に一人で座っているような感覚・・・・。

そして太陽、光・・・・。

カミュの異邦人・・・・・

関係ないか。

つづく
HOMEに戻る
中年おばさんの深夜鈍行  No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 No6 No.7   No.8      No.9     No.10