イグルーの作り方

2008年、米山悟さんが青森へ転勤されてきて山岳同人たがじょのメンバーになる。 米山さんは北大山岳部員のときからイグルーを作り始め、イグルー作りの経験が豊富である。 そこで山岳同人たがじょは、米山さん指導の下、イグルーを作る講習会を開催した。 これは2009年2月1日に北八甲田山麓の萱野高原で行われた講習会の様子です。


最初にイグルーを作るステップを示します。


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踏み固めた雪面からブロックを切り出し、円形に並べる。
人が横になれるほどの内径を持つ円形が目安になる。
1段目は土台となるので「大きい分厚いブロック」を使う。


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1段目の上面に45度ぐらいの傾斜面を内側へ向けて作る。
これは基本に忠実に作っている感じ。
このイグルーの作成プロセスを撮ることにする。


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1段目の傾斜面を利用して2段目以降は内傾をつけて積み上げる。
ブロックは台形にしてクサビが入るように配列するのが良い。


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きれいな切断面を接触面にしながらブロックを積み上げる。
必要であれば2段目以降の上面にも傾斜面をつける。


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2段目、3段目と積み上げると、ドームの下部ができてくる。
そろそろ天井を塞ぐ段階になった。


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出入り口となる場所を外から掘り、そこからもブロックを切り出す。


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切り出したブロック
天井を塞ぐ段階のブロックは「薄くて長めのブロック」を使う。


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天井を塞ぐ最後のブロックを作っているところ
薄くて大きいブロックが良い。


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薄くて長めのブロックを使って天井を塞ぐ。
ブロック同士の切れ目に次のブロックを乗せている。


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天井を塞いだ直後のドーム内の様子
多角形の角のところに次のブロックが乗せられている。


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ドーム外壁の突出部を切り取り、その小ブロック片で隙間穴を塞ぐ。
固めていない雪では穴が塞がりにくい。


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必要に応じて穴をさらに掘り下げ、居住空間を広くする。
末広がり式に掘り拡げ、居住空間を広げる工夫があっても良い。


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突出した部分を削って凸凹の少ないドーム内壁にする。
内部で火を焚くと天井の突出部から水滴が落ちてくるため。


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3人ぐらいが入るイグルーが完成
出入り口はツェルトなどで覆い、寒気がドーム内へ入らないようにする。




ここからは講習会の様子です。


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2人〜4人ぐらいで1つのイグルーを作っている感じだ。


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前夜泊の参加者が作って泊ったイグルー


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ブロックを切り出す参加者


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二つのドームを連結したひょうたん型のイグルーもある。


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9時から作り始めたイグルーが完成したところで休憩


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むつ山岳会や秋田からも参加があった。


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休憩後、OKさんとYさんとがそれぞれイグルーを斜面に作り始める。


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敷地内のブロックだけでドームが大雑把にできた。


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作り始めてから20分後にYさんが足側から出てきた。


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斜面の下側に出入り口を作り、仕上げの段階に入ったYさん


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わたしが積み上げて作ったイグルーも示しておきます。1人で3つのイグルーを作った人もいます。


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雑談しながら昼食。9時から始まり、昼食後に解散。


イグルー作りのステップとコツ

  1. イグルーは雪ブロックを積み重ねて作るので、イグルーを作る場所としては雪ブロックを得やすい場所がよい。 新雪時を過ぎれば雪ブロックの切り出しに適した雪の層が下の方にあることが多いので、そのような雪の層を見つけることを心がける。 もちろん新しいフカフカの雪しかないときは、踏み固めて雪ブロックの供給場所を作ることになる。
  2. イグルーを作る場所が決まると、その敷地となる円内を踏み固める。人が横になって眠ることを考えると、円の大きさは人の身長ないしは少し短めの直径でよい。 なぜ身長よりも短めでよいのかは後述する末広がり形の穴と関係している。全体的なイグルー作りのコツは、「大きく作らず、高く作らず」である。
  3. 踏み固めた雪面から雪ブロックを切り出す。ノコで切れ目を入れ、スコップで掘り出す。1段目は土台となるので、出来るだけ「大きな分厚いブロック」にする。 その大きさはスーパー店内用買い物かごを目安にすれば良い。台形になるように切り目を入れるとブロックを掘り出しやすい。
  4. 切り出したブロックを円形に並べ、一段目のブロック環を作る。一段掘って一段積んだので、穴内の足元からだと二段の高さになっている。
  5. 一人が穴内に留まって「ブロック積み職人」となり、他のメンバーは穴外に出て「ブロック切り出し職人」となる。 ブロック切り出し職人は他の場所からブロックを切り出し、ブロック積み職人へ供給する。
  6. 出入り口となる場所を外から掘れば、そこからもブロックを供給することができる。掘って作るので、出入り口は一段目のブロック環よりも低い位置になる。
  7. ブロック積み職人も足元からブロックを切り出してもよい。
  8. ブロック積み職人は1段目ブロック環の上面に45度ほどの傾斜面を内側へ向けてつける。そのような傾斜面をノコできれいに作る。
  9. このような傾斜面に次のブロックを乗せ、2段目以降からは急激な内傾をつけてブロックを積み上げる。 必要であれば2段目以降の上面にも傾斜面を作り、積み上げるに従ってブロック環の内径が急激に小さくなるようにする。 このようにしてドームの下部を構築していく。
  10. ドームの下部ができ、天井を塞ぐ段階になると、今度は「薄くて長めのブロック」を使う。ブロックの厚さは10cmぐらいが目安になる。 薄いブロックは雪の層に対して平行になるように切り出すのが良いことは言うまでもない。 天井を塞ぐ段階では薄くて長めのブロックを使い、ブロック間の内角を覆うように次のブロックを乗せる。 多角形の角のところに次のブロックを乗せると言えばよいのだろうか。 多くのマッチ棒を使ってドームを作る考え方と同じである。 天井を塞ぐ段階になってくると自然に思いつくブロックの並べ方かも知れないが、この手法の方が簡単に短時間で天井を塞ぐことができる。 最後に薄くて大きいブロックを使って天井を塞ぐ。これでドームが大雑把にできたことになる
  11. このようにして作ったドームは隙間穴が多くあるのが普通である。 そこでドーム外から隙間穴を塞ぐ。出っ張っているドーム外壁の一部を切り取り、その小ブロック片で隙間穴を塞げばよい。このように固めた雪を使うのがコツとなる。 固めていない雪を用いると、穴に詰めても流れ落ちてしまう。
  12. 必要に応じて穴をさらに掘り下げ、居住空間を広くする。末広がり式に穴を掘り拡げ、少しでも居住空間を広くする工夫があってもよい。
  13. このようにイグルーは掘り下げた穴とドームとからなるので、ドームは「高く作らず」とも良い。 極端な話、末広がり形の縦穴をドームで塞ぐようなイメージである。 掘り下げることのできる深さによって変ってくるが、ブロックを積む高さは1m以内が目安になる。 当然のことながら、下へ掘り下げるだけの積雪がない場合は、ブロックの積み上げだけでイグルーを作ることになる。
  14. イグルー内で火を使うと天井の突出したところから水滴が落ちてくる。そこでドーム内の出っ張っている部分を切り落とし、凸凹の少ない内壁にする。
  15. 出入り口はツェルトなどで塞いだり、ブロックを積んだりして、寒気がドーム内へ入らないようにする。

補足事項

  1. 上の説明からわかるように用意する道具はノコとスコップである。 「スーパー店内用買い物かご」ぐらいの雪ブロックを切り出すので、ノコは長くて細いタイプ(刃渡り30cmほど)、スコップはブレードが平らなタイプがよい。 ノコはスノーソーでなくても良い。つまり、細長い普通のノコで良い。
  2. ここでは積雪期登山を想定したイグルーになっているので、「大きく作らず、高く作らず」といったコツが述べられているが、人里や街中でイグルーを作る場合は別の話になる。 ただし、ここで述べられている雪の性質はイグルー作りに大いに役立つ。 当然のことかも知れないが、ドームの土台を作る段階では大きな分厚いブロックを使い、ドームの天井を塞ぐ段階では薄い長めのブロックを使うといった情報も役立つ。
  3. 他のウェブサイトに示されているイグルーの作り方と、上に示したイグルーの作り方とを比較すると、次のような点が異なる。 ドームの天井を塞ぐ段階で薄い長めのブロックを使うといった記述からもうかがえるように、ドーム下部と上部でブロックの組み立て方を変えるといった発想は、他に例を見ないユニークな点である。 さらにドームを大雑把に作ってから隙間穴を雪のブロック片で塞ぐといった発想もユニークである。 雪の性質を熟知していないと思いつかないかも知れない。 ここで示したドームの作り方であれば簡単に短時間で完成させることができる。 このようなコツが長い経験の中から生まれたと思われる。
  4. 上に述べたようなイグルー作りであれば、2人用は1時間弱、4人用は1時間半、4人用ドームと3人用ドームとをひょうたん形に連結したタイプも1時間半ほどで出来るようだ。
  5. 雪洞とイグルーとを比較した場合、作成時間や居住性など、ほどんど全ての点でイグルーの方が優れている。テントとイグルーとの比較では、それぞれに一長一短がある。

記録

資料




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