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2004年新年挨拶

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昨年は不幸な年でした。
コロンビアの事故に始まり、H2Aの打ち上げ失敗に終わりました。火星探査機も火星周回軌道に乗せることが出来ませんでした。しかし、不幸だけだったわけではありません。マスコミは不幸しか取り上げませんが、事実は違います。
日本のMVロケットは打ち上げに成功しましたし、搭載されていた小惑星探査機は今も順調に飛行中。懸案だったイオンエンジンも順調なようです。先は長いですが、この時点ですくなくともこの探査機については成功といってよいでしょう。(今後の任務は+αと思った方がよいのです、このミッションはそう言うものだから)
火星探査機とて完全な失敗ではありませんでした。彼らの得た軌道解析の技術、スウィング・バイの技術、それは今後の日本の宇宙開発に計り知れない利益をもたらしてくれましたし、それは先に述べた小惑星探査機に早速いかされています。
それに、衛星間通信にも成功しました。この技術が成熟すれば、日本の裏側に衛星がいてもリアルタイムでその状況を日本で把握することが出来るようになります。
また、民生品実証衛星も打ち上げられました。それも太陽活動が非常に活発な時に。「みどり」が壊れた状況下で、それでもこの衛星は壊れませんでした。これは民生電子機器が衛星に使用出来ることを示す端的な実例になり得ます。民生品が使用出来るようになれば、衛星はもっと安く、小型化出来るでしょう。
H2Aの初めての失敗はショックでしたが、考えようによっては、指令破壊前にバラバラになっていてもおかしくない中で、H2Aはしっかりと飛行していたのだから、このロケットはかなり信頼しても良いのではないのかとすら思えます。
そして、忘れてはならないのは、USERSの再突入の成功です。これは日本で初めて、宇宙から大気圏に突入し地上に帰還し無重力実験のサンプルを持ち帰ったものです。これは今後の宇宙開発に大きな意味を持ちます。宇宙からのサンプルを地表に独力で持ち帰る技術を日本が手に入れたということです。そしてこの技術は有人飛行にもかかせないものです。いつの日か、我が国も有人飛行に乗り出す日が来ると私は信じています。
そして今年は宇宙開発にとって明るい年になるでしょう。
昨年末の欧州の探査機による火星着陸は失敗しましたが、NASAは今日、さい先良く成功しました。 また、NASAは昨年末に、液体水素タンクの複合材化に成功しています。これは、中止されてしまったX33・ベンチャースター計画においてその直接の原因となった箇所でした。これの開発に成功したと言うことは、再び、単段式宇宙往還機、つまり完全再使用ロケットの開発が動き出す可能性があるということです。従来より機体重量が20%は軽くなるからです。スペースシャトルの後継機に一定の影響を与えるのは間違いないでしょう。
中国も、更に積極的に動くでしょう。月に向けて米印などと良い意味で競争してくれるはずです。
さらに、今年はXプライズが佳境を迎える年でもあります。おそらく、今年中に、人類初の民間による宇宙弾道飛行が実現するでしょう。国家の手から民間へ。産業として新たなる段階へ宇宙開発は本格的に突入します。民間による弾道飛行の実現は、宇宙旅行をより庶民に近づける意味を持ちます。
そう、ライト兄弟より100年、我々はあと一歩の所まで来ているのです。高価な専門機器から安価な民生電子機器へ。官主導・国家競争の宇宙から官民共同・国家共存の宇宙へ。
このような時代に、日本は重要な地位を占めることが可能です。なぜなら、日本は唯一、軍事技術を基幹としていない宇宙開発をしている国だからです。アメリカ、ロシア、欧州、中国、インド、どの国も軍事技術を根幹に宇宙開発を行っています。しかし日本は違います。そのことを日本はよく考えるべきです。情報収集衛星など打ち上げても意味がないことを知るべきです。そのようなものを作るくらいなら、気象衛星のバックアップを作るべきだったのです。H2Aの失敗は残念でしたが、搭載衛星が情報収集衛星だったのはその意味では不幸中の幸いでした。
問題なのは、この時代の中で、日本の宇宙開発の方向性が見えないと言うことです。3機関統合により宇宙予算はさらに削減され、それも情報収集衛星開発費に随分と取られています。これは決して好ましい状況ではありません。日本が宇宙開発において培っていた根本を蝕む結果につながりかねません。国家はこの問題に明確な回答を示すことが出来るはずです。
例えば、有人飛行を目指すでもよいですし、射場の移転でもよいでしょう。今後、日本が本気で官民一体となって宇宙開発をするならば、種子島では手狭ですし、射場の移転は当然考えなければならないからです。特に私が聞いた中では、沖縄という案が魅力的でした。米軍を撤退させ、その跡地に宇宙基地を作るのです。雇用の確保。観光客。すべての面で米軍基地より魅力的で、しかも、赤道に近いため、ロケット打ち上げに適しています。非軍事の宇宙開発国日本の象徴となり得るのではないでしょうか。
もちろん、他にも回答は様々在るでしょう。私としては、日本が宇宙開発について確固たる方針を示してくれることを望みます。
人は、海から上がり陸に住み、空を飛び回るまでになりました。であるならば、その先は宇宙であるのが自然です。そしてより切実な問題として、化石燃料の枯渇が間近であり、近い将来、人類は宇宙資源と真剣に向き合わねばなりません。その時になって慌てても、もう遅いのです。だから私は、人類は宇宙を目指すのだと思います。
それでは、新年明けましておめでとう御座います。
2004年1/4管理人オオタ

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