今回も最初に登場人物紹介(読むの面倒くさかったら飛ばしてちょ!)



プル・ミグト

 サイド1のあるコロニーに住む10歳の元気な女の子。しかし,ザンスカール帝国軍の攻撃の中偶然にもガンダムに乗り,敵を撃破してしまう。

ジュドー・アーシタ

 かつてのガンダムZZのパイロット。その後は木星船団で働いていたようである。当年U153では79歳の老人であり,引退している。そして一人の少女,彼のかつて知っていた少女エルピー・プルと瓜二つの少女と出会う。

バルト・バハッド

 連邦軍第1方面軍第7実験戦隊司令。階級は中佐。かなり怪しげな人物。プルがガンダムを操縦したことから,ニュータイプではないかと思い,何か画策しているようである。

デルグ・ベヤナグ

 バルトの部下。MS隊の支援任務にあたる。やや丸っこい。実はオタク。

カケル・レガルス
 連邦軍のモビルスーツのパイロット。階級は少尉で19歳。MSの腕は士官学校出たてにしてはそこそこだが,精神年齢は子供。

レグリー・ミグト

 プルのお父さん(?)。少し気が弱いようである。



リアム・キロッド
 カリスト級巡洋艦エウテルペ所属のザンスカール軍のパイロット。そこそこベテランで階級は中尉。ガンダム奪取作戦に参加するが,隊長をガンダムに討ち取られてしまい,復讐を誓う。

デロッサ・テラス

 エウテルペ所属の新米パイロット。階級は准尉で17歳。親がガチ党の偉いさんらしい。

ケリアム・ベルト
 ザンスカール帝国で最も残忍と言われるケリアム・ベルト戦闘部隊の隊長。階級は少佐。部下にバーンズ,デリー,バイガルがいる。





 これまでのあらすじ

 少女は白いモビルスーツに出会った。ガンダム,聞いたことのある名前である。かつて英雄たちが駆った機体。

 その少女プル・ミグトには関係のなかった世界である。

 しかし,プルはガンダムに乗ってしまった。何かに導かれるように

 プルの前に現れる戦争,連邦軍,ザンスカール帝国,モビルスーツ戦という現実の世界。そして一人の老人,かつてニュータイプと呼ばれたパイロット,ジュドー・アーシタと出会う。老人はプルと瓜二つの少女を知っていた。

 再び迫り来る残酷な現実,プルの前にザンスカール帝国で最も残忍なケリアム・ベルト戦闘部隊が現れる。その破壊の前にプルはまた一つの決断をする。

 「ごめんね・・・」と言って




『刻の向こうの少女』



第5話『その男 バルト・バハッド(前編)』




  「マル対移動を開始しました。」

 と通路の影から女性下士官がインカムで連絡をする。連絡の相手はブリッジにいるバルト中佐である。マル対とはモビルスーツデッキの中をソロリソロリと進む一人の少女を指していた。それにしてもマル対なんて刑事言葉を使っているところを見るとこの女性下士官もやや悪乗りをしている。戦闘中だというのにこの艦には少しばかり緊張感がかけているようだ。平和ボケした連邦軍だからというわけだけではない。この悪乗りの中心人物がブリッジに陣取るバルト・バハッド中佐その男である。


  「司令,本当にいいのでしょうか?」

 と艦長が心配げにバルトに尋ねる。

  「なあに艦長,心配はいらんよ。何て言ったってニュータイプだ,ニュータイプ。それにいざとなればユプシロンにはファントムモードもある。」

  「はあ・・・」

 とまったく心配などとは縁のないように答えるバルトに対し,艦長は気のない返事をする。この艦長は艦長とは言っても実験艦である本艦,機動打撃巡洋艦スレイプニルの運用においては実験戦隊司令であるバルト中佐を支援する役目と言っていい。ほとんどの指揮命令系統はバルト中佐が握っているのが現状ある。


  「よし,そのまま手はず通りプル嬢は泳がしておいてくれ。もしカケルのやつが邪魔するようだったら絞めてもかまわん。」

  「了解。」

 そう答え女性下士官はプル・ミグトの監視を続けた。


 プルは取り外されていたジャベリンのショットランサーの影にうまく隠れながらガンダムの方へと移動していく。そしてモビルスーツデッキ内の作業員たちの動きを見て素早くガンダムの足元へ取り付く。

  「へえ,あの子中々いい動きするわね。そういうのもニュータイプだからってわけ?」

 監視していた女性下士官が感心しながら呟く。そう言っているうちにプルはコックピットに取り付くためのリフトに乗り込み,操作盤をいじり出す。
 その時プルの様子に気づいたカケルがわめき出す。

  「おい俺のガンダムに何やっているんだ!こら勝手にいじ・・・ムグ!」

 プルがその声に気づいてその方向に振り返った時,そこには誰の姿もなかった。そしてプルは不思議そうな顔を一瞬したが,すぐにリフトの操作し出した。


  「ムグムグムガフフ・・・何をするムグ・・・軍曹・・・一応俺の方が・・・上官だぞ・・・」

  「中佐の許可済み」

 とモビルスーツ用のベッドの影で軍曹と呼ばれた女性下士官はクイッとカケルを絞める。

  「きゅううううううう・・・」

 と突如カケルの力が抜けるのであった。

  「やりすぎちゃったかな・・・?」

 女性下士官は頭をかきながらボソッと言うのであった。


  「まだ見つかってないよね?」

 プルはガンダムのコックピットの中に潜り込んでいた。
 緊張のためか,額にはべっとりと汗がにじんでいた。

  「コックピットハッチ・クローズ。モニター・オン。こ,これでいいんだよね。」

 焦りながらも的確にシミュレーションの時に教えられたモビルスーツの起動手順をこなしていく。それは彼女の利発さを示していた。


 だが,そんな彼女の一連の行動は全て艦橋の奥の席に陣取っている一人の男にモニターで監視されていた。バルト・バハッド中佐がにやつきながら言う。

  「くくく・・・それにしても私の期待通りに動いてくれる。いい子だ。」



 ガンダムがデッキ内をハッチの方へ向かって歩き出していく。そしてそれを見た作業員たちが口々に

  「なんだ,ガンダムが動いているぞ!」

  「出撃か?聞いてねえぞ!」

 などと喚きながら慌てて退避し始めた。

  「ハッチ開けて。ガンダム出るよ。ハッチ開けてよ!そうじゃないと壊してでも出て行くからね!」

 プルが無線で叫ぶ。それを聞いて「どうします?」って表情で振り返るオペレータに士官が答える。

  「中佐の指示どおり出させろ。」

 そうしてモビルスーツデッキのハッチが開く。

  「行くよ・・・行くよ・・・行くからね・・・」

 とプルは呟き,操縦桿を倒す。ガンダムが艦の中から躍り出し飛び立つ。


  「「ガンダム,行きまーす!」が抜けてるぞ!「ガンダム・ユプシロン行きます!」が!」

 とその光景を眺めながらバルト中佐が文句を言う。そしてその横では艦長がそんな中佐に呆れながら呟く。

  「・・・ベヤナグ少尉の苦労がわかる・・・」


 プルを乗せたガンダムがコロニーの中心付近を進む。眼下には破壊された街が広がっている。街の詳しい様子はくすぶっている煙と舞い上がった粉塵のためわからなかったが,プルにとっては十分すぎるほど衝撃的な光景であった。

  「ひどいよ・・・ひどいよ・・・もうこんなのいやだよ・・・」

 プルはうつむきながら呟く。そしてこんなところから逃げ出したかった。少しでも早くこんな状況を終わらせたかった。プルは煙の向こうに見えるバイクの怪物を視界の真中に据える。

  「連邦の人たちが逃げちゃうんだから・・・仕方ないよね・・・仕方ないよね・・・」

 そして震える手で恐怖を押し込むかのように操縦桿をぎゅっと押し,ガンダムを加速させる。


  「ひゃーーーはっはっ!来やがった!来やがった!ガンダムが来やがった!それでこそヒーローだ!」

 ガンダムの姿を捕らえたケリアム・ベルトが歓声を挙げる。

  「たっぷりと待たせてくれた分,念入りにいたぶってやんねえといけませんぜ!」

 とバーンズもそれに続く。


 リシテア級モトラッド艦デーヌカとその周りにいる4機の海兵隊仕様のゾリディアを確認できる距離まで近付いたプルはゴクリと唾を飲み,何かを決心したように無線の回線を開いた。

  「お願い!お願いだから聞いてよ!」

 とプルはガンダムの両手を上げさせながら叫ぶ。

  「この子を,ガンダムをあげるからもう出てってよ!わたしたちのコロニーから街から出てってよ!わたしたちは戦う気なんてないんだよ!ガンダムはあげるからいいでしょ!」



 その内容を艦橋で聞きながらバルト中佐は少しガクリとして,あっけに取られていた。

  「意外とつまらない選択肢を取ってくれる・・・まだ子供ということか・・・」

 とややシートに沈み込みながら言うバルトに艦長が尋ねる。

  「どうします,司令?」

  「どうするもこうするも,みすみすガンダムを渡すわけにはいかんだろ。ファントムモードに切り替える。」

 残念そうにバルトが答える。そこへ通信士が報告をする。

  「中佐,あの子隊内回線で話しています。これじゃあ敵の連中には聞えてませんよ。」

 当然なのだろう。普通の子供が軍の無線の公用回線だとか隊内回線だとか共通回線だとかはわかるはずがないし,教えられてもいない。プルはただコックピットの無線のスイッチを入れただけなのである。

  「何,そうか。くくく」

 とバルトは再び口元に笑みを浮かべながら答える。


  「隊長,ガンダムのやつは万歳してますぜ!」

  「ぎゃーははははははっはは!さすがはガンダム様だぜ!俺たちにもう勝った気でいやがるのか。でもそうはイカの金玉よ!」

 とバーンズの言葉にケリアム・ベルトが答えて,自分のゾリディアを進み出させる。

  「ひいぃぃぃぃーーー,ひゃはははははははは,ガンダムゥゥゥーーー!きっちりといたぶり殺してやるからなあ♪パイロットは手足をもぎ取ってガンダムのツノ飾りにでもしてやろうかあぁぁぁ!!!」

 と共通回線でベルトの野獣のようでもあり,神経にまとわりつくような悪寒を覚えさすようなでもある声で叫ぶ。プルはその声に怯えながらも必死で叫んだ。

  「わたしは戦う気なんてないよ!もう出て行って欲しいだけなんだよ!ガンダムが欲しいから来たんでしょ。ガンダムあげるから出てってよ!もう出てってよ!もうみんなに酷いことしないでよ!」

 だが,プルの必死の叫びは彼らには聞えていなかった。連邦の隊内回線で叫んでいるのだから当然である。もっともプルの声が彼らに聞えていても結果は一緒だっただろう。

  「てめえもすぐにそいつらの仲間入りさせてやらあ!!!」

 ベルトのアインラッドがガンダムに突っ込む!

 ガシイィィィィンン!!!

 呼びかけに必死だったプルは避ける間もなく,ガンダムは弾き飛ばされ街中に突っ込み,その地面を滑っていく。

  「きゃああああああああ!」

 プルはコックピットの中で揺さぶられ悲鳴をあげる。そして地面に激突した際に意識が少し遠のいたが,やがてそれも回復し,また墜落で舞い上がった砂埃も少し収まり,ガンダムの周りのものが見えてくる。

  「いやあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 プルはさっきとは比べ物にならないほど絶叫する。彼女の前に広がっていたのは死,死,死であった。死体の山であった。腕,足,首,上半身,下半身が引き千切られたもの,完全に潰されて人の形をしていないもの,骸の山である。空から街を見ていたときには粉塵のため見えなかった。
 子供,女,男,老人,そこには平等に死があった。つまらない差別などなく平等に。それはガンダムの墜落によってもたらされたものではない。あたり一面に広がっていた。すべてケリアム・ベルト戦闘部隊によってもたらされたものだ。


  「カケル,ちゃんと覚えただろうな。ヘマしたら太陽向けてミサイル発射管から射出するぞ!」

 とバルトが艦橋から怒鳴る。

  「わかってます!ちゃんと頭に叩き込みました。それよりV装備OKなんですよね?」

 とヒリヒリする頬を撫でながらカケルが尋ねる。それは先程やや手荒い起こされ方をしたためだ。

  「どうせベルト戦闘部隊のやつがさんざんぶっ壊してくれたんだ。ちょっとやそっとぶっ放ったところで目立たんよ!」

  「了解。よおし俺のガンダム待ってろよ!ちゃんと取り返してやるから。あとプルのやつもおしおきしてやらないと。俺のガンダム勝手に持って行ったんだから。そのためにちゃんと連れ帰らないとね。」

 などと独り言を言っているうちに誘導員が発進の合図をする。

  「カケル・レガルス,Vジャベリン行きまーーーす!」

 カタパルトが加速し,Vジャベリンが空へ放たれる。
 Vジャベリン,このVという頭文字は今話題のリガミリティアのヴィクトリータイプのものとは関係ない。ヴェスバー(Variable Speed Beam Rifle)の頭文字のVである。通常のジャベリンが装備しているショットランサーをヴェスバーに置き換えたものだ。ただし,Vジャベリンは他の部分でも改装はされている。


  「ヒャーハッハッハッハッハハーーー!こんだけ待たしてくれたんだ!じっくりいたぶって殺してやんねえとなーーー!」

 とケリアム・ベルトが笑いながら,長槍をプルのガンダムに突きたてる。プルは迫りくる恐怖に身の毛をよだてながらもガンダムを後方へ上昇させ,その攻撃から逃れる。だが,次の瞬間バーンズのアインラッドがその後方から迫る。v
  「泣き叫んでも,手足を引き千切って,はらわたを引きずり出してやるよおおおおおん!」

 笑いながらガンダムを長槍でなぎ払ってくる。かろうじて今度は機体を降下させそれをかわす。Gによりプルはエアベルトに締め付けられる。そしてそのためかそれともあまりの恐怖のためか吐きそうになった。
 まわりを見渡すと他の2機のゾリディアがプルの左右でタイヤの中から長槍を構え狙っている。包囲された。ザンスカール軍のMS特有の腫れぼったい瞼をしたようなメインカメラがプルを喰いつくさんが限り睨んでいる。プルは全身から血が引いていくのを感じた。

  「ヒャハハハハハハハハハハハーーー!」

 ベルトのタイヤが再び迫る。プルは震える手で反射的に機体を右側面へ振りそれをかわしたが,その瞬間。ガンという衝撃とともにプルの機体は弾かれた。プルの右側にいたはずのタイヤにガンダムが後ろから弾き飛ばされたからだ。
 プルとガンダムは再び地面に叩きつけられる。エアベルトがプルの体を守ってくれていたが,それでもその締め付けにプルは胃の中のものを戻した。上空から4つのタイヤがプルへの包囲の輪を縮めるが如く少しずつ迫ってくる。

  「さすがのガンダムさんでも我らザンスカールには敵わないってことをたっぷりと連邦の連中に見せてやらねえとなあ!」

  「いたぶり殺されるだけだってことよ!死んでもその苦しみから逃れられないぐらいに切り刻まれてなあ!」

  「ゲー,ゲゲゲゲー!ハヒャーーー!」

  「死あるのみ。死あるのみ。死あるのみ。」

 そんなケリアム・ベルト戦闘隊の連中の残虐な吼える声がプルにはダイレクトに体に感じられた。その叫び声そして残虐さに自分の身を喰いつくされていくかのように。

  「あ・・・あ・・・や・・・やだ!やだ!やだよ!やだよ!やあああああああああ!!!」

 プルはコックピットの中で一人泣き叫び,怯え震えるしかできなくなっていた。


  「ぐ,くそ!何だ!どうなっているんだ!プル・・・」

 プルの恐怖に泣き叫ぶ声を聞き取っていた人間がいた。あの老人,ジュドーである。ジュドーは未だにバルト中佐に案内された艦の一室にいた。それはある意味仕方のないことだったのかもしれない。今の彼は一民間人である。しかし,先程から聞え続けてくるプルの泣き叫ぶ声にたまらなくなり,出口へと進んでいく。

  「勝手に出ていかれては困ります。」

 とジュドーとプルの父親レグリー・ミグトの監視のために待機していた下士官が止めようとするが,

  「あの中佐のところへ俺を行かせろ!どけ!」

 とジュドーのあまりの形相に下士官は一瞬たじろぎ,その隙にジュドーは部屋の外へ歩み出していった。
 それに対してレグリーはと言うと,ジュドーの突如の反応を呆然と見ていることしかできなかった。知らないはずの老人が自分の娘の名前を突如口にすることに何となく少し居心地の悪さを感じながら。


  「敵艦出ました!」

 とコロニー外で待機していたデロッサが叫ぶ。コロニーのドッキングベイから最大戦速らしき速度で発進する艦が見える。

  「ガンダムが戦っているというに母艦が逃げるというのか?」

 とその行動をやや訝しげに思いながらもリアム・キロッド中尉はリグシャッコーのスロットルを上げ,一気にその後を追う。

  「ガンダムが囮を引き受け,その間に母艦を逃がそうとしているとでもいうことか?」

  「今度は逃がさん!」

 と敵の行動を疑問に思うリアムと復讐戦に燃えるデロッサはそれぞれの思いを抱きながらも敵の後を追う。そして彼らの後にその母艦カリスト級巡洋艦エウテルペが続く。


  「中佐,敵はデコイ(囮)に引っかかりました。」

  「よし,スレイプニル微速発進!」

 とバルト中佐はニヤリとしながら命令を下し,機動打撃巡洋艦スレイプニルはドッキングベイから出港していく。
 先程リアム達が追ったのはバルトが放った精巧にできた囮のダミー風船である。それを艦の最大戦速の速度で打ち出したのだ。

  「あとはタイミングだ。プル嬢,カケルうまくやってくれよ。くくく。」


  「やだ!やだよ!やだ!やだーーー!」

  「ひ,ひゃひゃひゃひゃひゃひゃーーーーー!」

 泣き叫ぶプルにバーンズのゾリディアが長槍を突き立てていく。パニックになったプルはもうまともに機体を操縦できていなかった。ガンダムがオートで敵の攻撃を防いでいるという状態である。
 それもケリアム・ベルト戦闘部隊の連中がいたぶるためにわざとバイタルパートへの直撃を避けるかのように攻撃をしているため,かろうじて防ぐことができているといった状態だ。
 それでも時折長槍が機体をかすめ,プルは振動に揺さぶられる。

  「わたし死んじゃうの。こんなところで一人で・・・やだ!やだよ!助けて!助けてよ!お父さん。助けてよ・・・」


 4機のアインラッドはプルの周りをグルグルと回り,包囲を狭め,そして四方から槍を突き立て,アインラッドで弾き飛ばす。


 これまでもプルは何度かベルト達の包囲から逃れようと試みていたが,その度4つのタイヤの連携に阻止されていた。後わずかで逃げることができそうなところに達するのだが,その瞬間プルは黒いタイヤに阻まれ,挟まれ,そして再び地面に叩きつけられるのであった。
 そう,ベルト達はいたぶるかのように,わざと隙を見せ,一瞬希望を持たせ,そして再び恐怖の中に突き落としているのであった。
 プルはシールドを構えて,機体を加速させバーンズのゾリディアに突っ込ませる。そして突進してくるバーンズの長槍をなんとかすんでのところでかわし,機体が交錯する瞬間にビームシールドがぶつかり合った干渉を目暗ましにして,一気に上空へ逃れようとする。
 プルの正面に開けた空間が一瞬広がる。やったと思った瞬間,ガンダムがガクッと止まる。絶望的な衝撃とエアベルトの締め付け。嗚咽したプルの視界にはゾリディアから伸びる鋼線のようなものがガンダムの足の絡み付いている光景だった。
 デリーのゾリディアの左腕に装備された連装ストリングスがプルのガンダムの足に巻きついていたのである。
 プルは必死になり,ガンダムをフルスロットルで加速させ,ストリングスを引き千切る。がしかし,一瞬そのピンチを脱したと思った瞬間,衝撃を受ける。バイガルのゾリディアに後ろから長槍で殴りつけられていたのである。
 その衝撃でガンダムごと地面に叩きつけられたプルは胃の中のものを再び戻し,苦痛にうめきながら一人コックピットの中で怯え,消え入りそうになっていた。こんなところに来てしまったこと,自分の甘かった考えを後悔する。


  「ひゃはははあああああああああ!!!」

 とベルトのゾリディアがプルに向かって長槍を突き立て,突進してくる。

  「やあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 とプルが絶望に叫び声をあげるが,その瞬間プルは上に導かれるかのような感覚がした。反射的にプルは操縦桿を引き,ガンダムを上昇させベルトの長槍をかわした。だが,これまでと同じようにプルの上に黒い影が覆い被さる。バーンズのタイヤである。そしてプルを逃がすまいとデリーとバイガルのゾリディアがその周りを旋回している。

  「ざんね〜〜〜ん!!ゲヒェーーーーー!」

 と雄叫びを上げながらバーンズのゾリディアはガンダムを叩き落そうと長槍を振り下ろす。

 プルが直撃の予測と絶望に身を竦ませた瞬間,閃光が走り,バーンズのタイヤが四散した。

  「何だーーー!」

 とベルトは振り返りながら咆哮する。


 (『その男バルト・バハッド(後編)』に続く)














 う〜〜〜ん,ケリアム・ベルトに思いっきり『エンジョイ&エキサイティング』させ過ぎてしまった・・・というか『エキサイティング』し過ぎか・・・

プルツー「何なんだ!こいつらは!いいかげんにしろ!あのプル・ミグトっていう姉さんそっくりの子に何をやっているんだ!」(蹴り!蹴り!蹴り!)

 うぎゃ!って拙者は『プルたんに踏まれ隊』であって,プルたんに踏んで欲しいのだが・・・

プルツー「うるさい!もう見ていられない!私にガンダムの操縦を代われ!あんな奴ら私が落としてやる!」

 まあ,ツーちゃんなら一気に倒せるかもしれないけど・・・

プルツー「だったら私を乗せろ!あの子が苦しんでいると姉さんが苦しんでいるようでいやなんだ!耐えられないんだ・・・」

(まあ,そうしたいのもやまやまなんだが,一応ストーリーがあるので・・・まさかモードチェンジ・プルツーってやるわけにはいかないし・・・)



 それにしてもこのプル・ミグトちゃん,『カミーユの声』の時のプルたんよりボコボコにされているような・・・
 まあ,あの時のプルたんほどの怪我はしていないけど・・・
 やっぱり,あなたの命を繋ぐシートベルトってやつか・・・(エアベルトだけど)
 ってエウーゴのMSにはシートベルトも付くとらんのかーーー!!!
 エアベルトとは言わんけど,せめてシートベルトでも付いていればプルたんはあんなに怪我しなかったのに!責任者出てこーーーい!!!


プルツー「・・・そうだ・・・あの時,姉さんは怪我をしていたんだ・・・そんな姉さんに私は・・・」

 い,いやそれはツーちゃんのせいじゃなくって・・・グレミーが・・・

 違う!全部ジュドーが悪いんじゃああああああ!!!

プルツー「・・・何故そうなる・・・」





機体解説
Vジャベリン
 ジャベリンに装備されているショットランサーの代わりにヴェスバーを装備したタイプ。頭部や装甲などは通常のジャベリンと共通のパーツを用いており,外見上は通常タイプと似通っているが,ジェネレターやスラスター,バーニアは換装されているため,実際のところは別の機体と言ってもよい。




 感想待ってま〜〜〜す!よろしくお願いします。





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