今回は最初に登場人物紹介(読むの面倒くさかったら飛ばしてちょ!)







プル・ミグト

 サイド1のあるコロニーに住む10歳の元気な女の子。しかし,ザンスカール帝国軍の攻撃の中偶然にもガンダムに乗り,敵を撃破してしまう。



ジュドー・アーシタ:かつてのガンダムZZのパイロット。その後は木星船団で働いていたようである。当年U153では79歳の老人であり,引退している。そして一人の少女,彼のかつて知っていた少女エルピー・プルと瓜二つの少女と出会う。



バルト・バハッド

 連邦軍第1方面軍第7実験戦隊司令。階級は中佐。かなり怪しげな人物。プルがガンダムを操縦したことから,ニュータイプではないかと思い,何か画策しているようである。



デルグ・ベヤナグ

 バルトの部下。MS隊の支援任務にあたる。やや丸っこい。実はオタク。



カケル・レガルス

 連邦軍のモビルスーツのパイロット。階級は少尉で19歳。MSの腕は士官学校出たてにしてはそこそこだが,精神年齢は子供。



レグリー・ミグト

 プルのお父さん(?)。少し気が弱いようである。



リアム・キロッド

 カリスト級巡洋艦エウテルペ所属のザンスカール軍のパイロット。そこそこベテランで階級は中尉。ガンダム奪取作戦に参加するが,隊長をガンダムに討ち取られてしまい,復讐を誓う。



デロッサ・テラス

 エウテルペ所属の新米パイロット。階級は准尉で17歳。親がガチ党の偉いさんらしい。



ケリアム・ベルト

 ザンスカール帝国で最も残忍と言われるケリアム=ベルト戦闘部隊の隊長。階級は少佐。







これまでのあらすじ



 モビルスーツ,連邦軍,ザンスカール帝国,そして戦争,これまで関係がなかったかのような世界。

 しかし偶然に乗ったガンダムにより,プル・ミグトは敵を撃破してしまった。それは彼女の望んだことだったのか。プルは自分に尋ねる,なぜこんなことができてしまったのか。そして自分は何者かと尋ねる。少女は一つの決意をする。

 そんな少女の想いとは裏腹にモトラッド艦デーヌカとケリアム・ベルト戦闘部隊は彼女たちのいるコロニーに迫るのであった。






『刻の向こうの少女と』



第4話 『ベルト戦闘部隊』








 バッシュー! ドギャギャギャギャーーー!!!ボーーーン!!!

 モビルスーツが撃墜される効果音が流れる。とは言ってもシミュレーターのものだ。

  「やったー♪また私の勝ちー♪」

 と軍艦の中に元気な少女の場違いな声が木霊する。プル・ミグトはベヤナグ少尉たちの依頼でモビルスーツ用のシミュレーターでテストを受けていた。だが,どうもプルにはそういった緊張感はそれほどないようだ。子供だからということもあるが,実際のところはその模擬戦の相手のせいでもあるようだ。反対側のシミュレーターでその相手カケル・レガルス少尉がわめく。

  「ええい!実戦とシミュレーションは違うんだ!」

  「負け惜しみ。負け惜しみ。」

 とベヤナグがつっこむ。事実プルのカケルに対する戦績は5勝2敗と新兵とはいえ一応正規のパイロットのカケルに対してだから見事なものである。しかもその2敗はあくまで操作に慣れていないことによるミスのためのようだ。ベヤナグにはバルト中佐が言っていたプルがニュータイプという話もあながちでたらめではないように思えてきた。

  「実戦は違うんだ!実戦は!実戦だったらGがかかるんだ!それにやられりゃあ血も出て死んじゃんだ!怖いんだぞ!」

 と毒づくカケルであるが,前回の戦闘が初の実戦であり,はっきり言って実戦経験の数はプルと同じなわけだから,言えたことではない。

  「死んじゃう・・・」

 だが,カケルのその言葉,特に『死ぬ』という言葉にプルは敏感に反応していた。初めてのモビルスーツによる戦闘,そしてその前には人の命など紙切れ程度にしか過ぎなかったエアポートにいた人たちの死を見てしまったのだから無理もないことかもしれない。

  「おい!」

 ベヤナグがカケルをとめる。

  「あ,悪い・・・」

 とさすがのカケルもプルの様子に気づく。



  「アンノウン戦艦1,MS4接近」

 と連邦の哨戒部隊が継げる。敵部隊はまっすぐこちらに向かってくる。

  「何だ!タイヤ!タイヤか?!」

 哨戒にあったっていた連邦のジャベリンのパイロットは一瞬目を疑った。MS大と確認していた敵機は巨大なタイヤだったのである。だが,次の瞬間そのタイヤの中からモビルスーツが顔を覗かせる。その手には巨大な長槍が握られており,ジャベリンに向かってまっすぐ向かってくる。虚を突かれたジャベリンのパイロットはタイヤに向けてビームライフルを乱射する。そしてその数発はタイヤに命中したはずなのだが,そこでビームは拡散してしまった。

  「うわああぁぁぁぁぁーーーーー!」

 タイヤとモビルスーツはジャベリンの攻撃などまったく無視するかのごとく,ぐんぐん迫ってくる。そして視界はそのモビルスーツが持つ長槍で満たされる。

  「うわはっははははははははーーーーー!ひゃーーーーー!」
 とコックピットを串刺しにしたジャベリンを高々と掲げ,そのタイヤすなわちタイヤ型のSFSアインラッドに騎乗したモビルスーツのコックピット内でベルトが吼える。

 そのモビルスーツは海兵隊仕様ゾリディア,元々陸戦タイプのゾリディアをコロニー制圧作戦用にカスタマイズしたものだ。ベルト戦闘部隊ではその主兵装として20mはあろうかという巨大なヒートランサーを装備していた。



 チャカチャッ!チャカチャッ!チャカチャッ!チャカチャッ!チャー!チャー!チャー!チャー!

 と艦内にアラーム音が鳴り響く。

  「敵襲?また敵襲なのか?」

 とジュドーが誰に聞くわけでもなく呟く。

  「そのようですな。ではとりあえずのところ,この話は切り上げるとしてまして。」

 相変わらずの人を食ったような態度のバルトをジュドーは少し睨むが,さすがに指揮官を引き止めるわけにはいかなかった。そしてレグリーがバルトに尋ねる。

  「あの子は,プルはどうなるのです。」

  「ご心配されずとも,この戦闘が終わればちゃんと面会できますよ。この戦闘が終わればね。あとそれから,ご老人にレグリー殿,一応民間人であるあなた方に戦闘中の艦をうろうろされては困りますのでこの部屋で待機していてください。何かあれば彼の指示に従ってください。」

 とバルトは応接室の出入り口に待機している下士官を指す。

  「プルは大丈夫なんでしょうね。」

  「ええ,お嬢さんは自分の部下が今面倒を見ているはずですから。」

 縋りつくように尋ねるレグリーにバルトは答える。その時のバルトにわずかに含まれていたニヤリとした表情にジュドーは気づいていた。そして廊下に出ていくバルトを追う。部屋の出口に待機していた下士官の制止を振り切り,バルトの腕を掴み詰め寄る。

  「まさか貴様,またあの子をガンダムに乗せようとしているわけじゃないだろうな。」

  「はは,ならご老人がガンダムに乗ってくださるということですかな。かつてのニュータイプのあなたが。」

  「ぐぐぐ,またあの悲劇を繰り返そうというのなら、貴様なんぞに・・・」

 とバルトの態度に対して怒りに震えるジュドーはそのバルトを引きずりどけ,進もうとするが,バルトはすっと体重移動させる。そしてその拍子にジュドーはよろける。

  「冗談ですよ。老兵は死なず,ただ去り行くのみですからな。ま,本当にガンダムと一緒に死んでもらっても困りますしね。」

  「くっ!」

 怒るジュドーを後目にバルトは廊下を進んでいった。ジュドーはバルトをさらに追おうとするが,それは下士官に阻まれてしまった。

  「ふふ,いささか怒らせすぎたかな・・・」

 とバルトは呟きながブリッジに向かい廊下を行く。



  「また戦いなの?」

 とプルが不安そうにドアから外のモビルスーツデッキを覗きながらカケルに尋ねる。プルはカケルとともにモビルスーツデッキ脇のパイロット用のブリーフィングルームで待機させられていた。先程プルとカケルが使っていたシミュレーターもモビルスーツデッキの傍らにあった。

  「ザンスカールの連中が仕掛けてきたみたいだけど,まだ詳しい状況はわからねえ。」

  「また戦い・・・どうなるだろう・・・わたしたち?」

 とプルは格納庫内のハンガーに横たわるガンダムを見つめていた。何となくそれに気づいたカケルはプルに言う。

  「言っておくけど,おまえがまたガンダムに乗るなんてことはないからな。あれは俺が乗る予定なんだからな。まあ俺の予定だけど・・・」

  「え,あの子ってカケルのなんだ・・・あ・・・うう・・・あ,やだ・・・やだ・・・怖い・・・つぶされるよ・・・やだよ・・・」

 とそれまで少し不安な表情は混じっていたものの普通に話していたプルは突然肩を抱き,震え出す。プルの額はあっという間に汗でびっしょりになっていた。

  「お,おい,どうしたんだよ。」

 カケルはプルに駆け寄って尋ねる。



  「中佐にしては遅かったですね。また,埋まっていたのですか?」

 とブリッジに上がってきたバルトにベヤナグが少しつっこむ。

  「うるさい!で,状況は?」

  「敵は例のバイク巡洋艦ってやつです。戦艦の方はいないようですが。それにタイヤ型のSFSが数機です。敵部隊は反対側のベイブロックから侵入,そちらのモニターで確認できますようにすでに市街地に侵入しております。」

 艦橋のモニターには市街地を踏み潰していくバイク巡洋艦の姿が映し出されていた。

  「よし,本艦はこのまま待機,出方を見る。私はやつらの挑発に乗って出ていってやるほどお人好しでもないのでね。」

 と興味深げに突き進むバイク巡洋艦の映像を見ながらバルトが言う。そして指示を加える。

  「あとコロニー公社の連中を呼び出してもらえんか。」

  「了解。ですが,やつらを放っておくのですか。コロニーの駐留軍からも支援要請が来ていますよ。」

  「かまわんよ。下手にモビルスーツでも出してみろ。ああいうやつらだ,ガンガン主砲をぶっ放ってくるぞ。あの戦法,きっとべルト戦闘部隊に違いない。」

  「べルト戦闘部隊!あの悪名高い恐怖の特別戦闘部隊の?!」

 とベヤナグは驚いた表情で尋ねる。

  「どちらにしろしばらく様子を見る。やつらとて弾が無限にあるわけるじゃない。適当に暴れたら弾をセーブするよ,きっと。ああいう脅しをかけるのも作戦の内さ。意外と頭のいい連中かもしれない。」

  「頭のいい・・・?」

 とベヤナグはいぶかしげに答える。



  「ひゃははははは,逃げろ!逃げろ!逃げないと踏み潰しちまうぞ!」

 とアインラッドが街を潰しながら突き進む。逃げ惑う市民を追い立て,そして踏み潰していく。

  「タイヤは急に止まれない。ざんね〜ん!」

 ケリアム=ベルトがゾリディアのコックピットで笑いながら言う。そしてその後ろに3機のゾリディアが続く。

  「隊長,ガンダムのやつはまだ出てこないのですけい!」

  「真打ちは遅れて出てくるものだとよ。それまで俺たちはアリンコでも潰して暇つぶしをしているか。それでも出てこないようだったらいっちょ脅しをかましてみてもいい。よし,デリーとバイガルはこっちやっていろ。俺とバーンズはあっち側を潰している。デーヌカも適当に地ならしをしておけ。」

 とベルトは適当な指示を出す。

  「地球に行った連中じゃないんですから,地ならしは必要ありませんぜ!ヒヒッ!」

 とそれにバーンズと呼ばれたベルトに続きながらパイロットが答える。



  「うう・・・こんなのやだよ・・・こんなのひどいよ・・・」

 とプルが頭をだかえて苦しみ出す。

  「おい!どうしたんだよ?気持ち悪いのか?」

 カケルがプルの背中をさすりながら聞きながら,再びの戦闘による恐怖のためパニックを起こしたのかと考える。

  「仕方ねえ。いま安定剤を持って来てもらうから。あと中佐にも連絡しておいた方がいいかな・・・」

 とカケルは内線をかける。



 (ガガ・・・ひゃはは・・ガ・・はははははーーー!潰せ!潰せ!ガガガ・・・ピーーーー!)

 とミノフスキー粒子のおかげで受信状態の悪い無線からベルトの声が聞える。

  「何をやっているんだ・・・やつらは・・・くそ!」

 とコロニー外で待機しているリアムは舌打ちをする。

  「これがベルト戦闘部隊の戦い方・・・」

 とデロッサも呟く。彼らは非戦闘員そのものを対象とした戦闘に慣れるほどまだ割り切ることはできなかった。

 再び彼らは両側のベイブロックを中心にコロニー近くの宙域の警戒のために意識を集中する。



  「大怪獣襲来!!!とうりゃあ!」

 とバーンズのゾリディアはスクールバスを持ち上げる。モニター越しに恐怖でパニック状態になった子供たちの顔が見える。

  「これから君達のバスをシャア専用にしてやるからねえん♪」

 などその様子を見て笑いながらバーンズはビルに向かってバスを放り投げる。

 バン!グシャン!ガワシャ!

 と轟音を上げ,バスはビルの壁に激突する。ペシャンコにつぶれた内側から鮮血がにじみ出てくる。

  「ちょいとペンキが足らなかったか。ざんね〜ん!」

 ゲッ,ゲッ,ゲッと不気味な笑い声を上げているとベルトからの通信が入る。

  「よおし,野郎ども十分遊び終わったな!集結しろ!そろそろ主賓をお呼びしねえとな。」

 そんな命令がベルトから入る。主賓とは当然彼らの目的であるガンダムタイプのことだ。



  「いや!」

 プルはまた頭に手をやり苦しみ出す。その時軍医がブリーフィングルームには行って来てプルの症状を見始める。

  「なんか戦闘が始まってから,苦しみ出してしまって。先生,どうなんです。」

  「う〜〜〜ん,鎮静剤を打っておくか。」

 と軍医は首をかしげる。



  「うぐ・・・」

 同時にジュドーも頭を押さえ,軽い頭痛を覚えていた。

  (プル・・・)

  「大丈夫ですか。」

 とジュドーとともに応接室で待機させられていたレグリーが尋ねる。実はこれがこの二人の間で交わされる初めての会話だった。それまで奇妙な気まずさのため会話が交わしにくかったためだ。そしてそれまでの間レグリーは落ち着きなくにきょろきょろとあたりを見回していただけだった。

  「ああ,大丈夫だ。それより,そんなことより娘さんを何とかしなくては。」

  「はい・・・。そ,そう言えばあなたとプルの,娘は一体どういった関係なのでしょうか。」

 とレグリーがジュドーに尋ねる。確かにレグリーからしてみると当然の疑問かもしれない。そしてジュドーも少し答えに窮する。かつて知っていた少女と瓜二つの少女だったから,それだけでは説明になりにくい。そしてジュドーの知っていた少女,エルピー=プルについて今説明することははばかられた。ジュドーはそのエルピー=プルを戦いで失っていたからだ。たった今娘がモビルスーツに乗り,そして未だに会うこともできず,その身を案じる父親に対して娘と瓜二つの少女がモビルスーツで戦死していることを告げるのは無神経なように思えたからだ。

  「子供が戦うようなことはもうあってはいけない。もう二度とそういうことは。俺はただそのことを止めたいのだ。」

 とだけ答える。そしてレグリーはただ無言でジュドーのことを見返すだけだった。



  『連邦およびガンダム野郎に告ぐ!俺達はデリアム=ベルト特別戦闘部隊だ!ガンダム,1時間以内に出てきやがれ!さもなければコロニーの全面的破壊を行う!いいか,1時間以内だぞ!逃げやがったらてめえのせいでコロニーのやつらは皆殺しだ!』

 などとめちゃくちゃな内容の脅迫文らしきものが一般回線で放送される。その放送はバルト達はブリッジで聞いていた。

  「まったくこれだけめちゃくちゃやっておいて何がコロニーの全面破壊だ!」

 ベヤナグが怒ってか,あきれてか,そう呟く。

  「まあまあ,少尉。正直な連中だと思わんか。私は戦争に正義だ,人権だなどとくだらんことを持ち込むやつらに比べたら,連中の方に好感を持てるがな。」

 とバルトは面白そうにベヤナグをなだめる。そこへ扉が開いて軍医に連れられプルが入ってくる。バルトが呼んだのである。プルはさっきに比べれば少しは落ち着いた様子であった。それをバルトはじっくりと観察し,

  「ご苦労,プル=ミグト嬢。気分はどうかな。できればさっき君が感じたことを自分に聞かせて欲しいのだが。」

 と声をかけるのだが,プルは別のものに気を取られていた。ブリッジのモニターに映し出される破壊された街の光景である。変わり果てた昨日までプルが暮らしていた街の光景である。

  「そんな・・・ひどいよ・・・何で,何でなのよ・・・さっきのって・・・もうやだよ!やだよ!こんなのやだよ!」

 プルは跪き泣きはじめる。それはわずか10歳の少女にとってあまりにもショッキングな光景だったのだろう。そこへベルトの脅迫放送が繰り返される。

  『ガンダム出てきやがれ。出てこねえとどんどんコロニーをぶっ潰してやるからな!ひゃはははははは!皆殺しだ!皆殺しだ!』

 その声にプルは怯える。

  「なんで・・・なんで,こんな人が来ちゃうのよ・・・」

 そんな時一人の下士官がバルトに報告を行う。

  「中佐,コロニー公社の管区長殿がお見えになりました。」

  「そうか,早かったな。」

 とバルトが答え,せっかくプルを呼んだのにタイミングが悪いと表情をする。そしてプルに近寄り,

  「プル=ミグト嬢,今ガンダムを狙って悪いやつらがコロニーに来ている。どうするかね。」

 など語りかける。

  「わたし,わたし・・・もう戦いなんてやだよ。」

  「だが悪いやつらはいやと言っても出ていってはくれないんだがね。」

 とさらにプルに迫る。

  「中佐,管区長殿がお待ちですよ。」

 見ていられなかったのか,それとも管区長自らのお出ましに待たすことを恐れたのかベヤナグが割ってはいる。コロニー公社の管区長ともなれば,一介の連邦軍の中佐などよりは社会的地位はずっと上なのである。

  「わかったよ。貴官もついて来い。艦長,後は任せた。」

 とバルトはベヤナグを引き連れブリッジから出ていく。



  「貴様らーーー!」

 と若い連邦兵が吼え,3機のヘビーガンがベルト達に向かっていく。

  「ひゃはははははは!てめえらが退屈しのぎの相手をしてくれるってのか!」

 とベルト達のタイヤはヘビーガン隊の中へ踊り込んでいく。ビームが交差し,爆発の閃光が光る。だがそれはコロニーの地表面であった。所詮旧式のではベルト達を捉えきることはできなかった。そしてあっという間に距離を縮めたベルトの長槍になぎ払われていった。



  「よくお出でくださいました,管区長殿。折り入ってお話があるのですが。」

  「最初に断っておきますが,我々コロニー公社は厳正中立が原則です。」

 と管区長について来たメガネの若い男が言う。

  「まあまあ建前の原則論は置いておいて。管区長殿,今回の敵はあのケリアム・ベルト特別戦闘部隊なのですよ。」

 ニヤリとしながらバルトは言い放つ。

  「ベルト戦闘部隊ですと!」

 と驚いた表情で管区長は答える。

  「そうです。ベルト戦闘部隊です。コロニー公社と言えどやつらにはいろいろと恨みはあるはずでしょう。」

  「例えそうであっても公社は絶対中立が原則でありまして。」

 お付きの若い男が反論する。

  「自分は管区長殿に話しているのだ。それに頼みごとと言いましても,ちょっとばかりコロニーの構造を教えていただくのと後コロニーの修理を頼みたいのですが。」

 若い男を制し,バルトは管区長に問いかける。

  「コロニーの修理は公社としての当然の仕事だが・・・いったい司令殿は何を・・・?」

  「ちょっとばかり仕掛けを考えてましてね。」



 長槍に先端に突き刺されたヘビーガンの頭が高々と掲げられている。そしてタイヤに乗ったゾリディアがその長槍を担ぎ,ガレキの山の上で仁王立ちしている。

  「一時間てえのは少々長すぎたか。ああ退屈だ。」

 とコックピットの中で腕組をしてふてくされながらブツブツ言うベルトの姿があった。その後ろでは長槍の先端で撃墜したジャベリンのコックピットをグリグリと解体しているゾリディアの姿があった。デリーと呼ばれたパイロットの機体だ。



  「そ,そんな無茶な話です。コロニーにそんなことをしては」

  「では公社で宣伝していたことは嘘ですかな。」

 とバルトが管区長に迫る。

  「ケリアム=ベルト戦闘部隊,やつらが暴れ続ければ,それこそコロニーそのものの崩壊というものもありえるのですぞ。」

  「そ,それは困ります!絶対にあってはならないことです!何としても阻止していただかなくては!」

 管区長はコロニーの崩壊という言葉に慌てて答える。確かにコロニーの崩壊とはコロニー公社として,いやコロニーを生活の場とするスペースノイドとしてあってはならないことだ。

  「ですからその阻止のためのご協力を依頼しているわけでして。」

  「なんども言いますように公社は厳正中立が絶対でして,戦闘の協力など!」

 お付きの若いコロニー公社職員がバルトに反論する。

  「わかりました。司令殿の要請に答えましょう。ただし,公社としては情報の提供とコロニーの補修作業のみの協力に限らせていただきます。」

  「そんな,管区長!」

 と若い男は管区長は振り返って管区長を見る。

  「さすがは管区長殿,そこまで上り詰めたお方は話をわかってくださっていい。」

 管区長に一礼するとバルトはベヤナグのほうを向き

  「ベヤナグ少尉,せっかくのところ貴官には悪いがまたひとつ別のところで仕事がある。」

  「は!」

 といたずら小僧が何かを企んでいる時のようににやつくバルトにベヤナグが答える。



 軍の大人達が慌しく行き交っている。どうもあの中佐からいろいろと指示がとんでいるようである。ブリッジから戻ったプルは再びモビルスーツデッキ脇のブリーフィングルームにいた。そして扉から心配そうに顔を覗かせてそんな大人たちのやりとりを見ていた。カケルはプルがある程度落ち着いたのを見届けたら,誰かに呼ばれて今はモビルスーツデッキの中を行ったり来たりしている。プルは不安そうにガンダムを眺める。そんな時。

  「出港準備急げってんだ!早く物資は運び入れろ!飯は忘れんなよ!」

 という大人の声が聞える。

  「出港って,このまま出ていちゃうってこと?そんな・・・このまま行っちゃったらあいつがコロニーを・・・みんな殺されてしまう・・・そんなのだめ・・・そんなのやだよ!」

 とプルには自分の住んでいた町,そして友達の顔が思い浮かぶ。そしてそれらがブリッジで見た映像のようになすすべもなく巨大なタイヤに押し潰されていく光景が頭をよぎる。

 しばらくしてプルは何かを思い詰めながら,ガンダムの顔を再び見つめ呟く。

  「ごめんね・・・」









 まただいぶ間が空いてしまいましたが,やっと第4話です。遅筆過ぎるっす・・・

 さあてザンスカール側にも怪しいやつが出てきました。次回でプル・ミグトはどう戦うのか?

プルツー「怪しいっていうよりめちゃくちゃじゃないか!こいつら!どう見ても遊びで人殺ししているだろ!」

 まあ,この部隊の心得はきっと『エンジョイ&エキサイティング』なのかなあと思ってってことでどうっすか?

プルツー「・・・・・」



 というわけで今回出てきたモビルスーツ『ゾリディア海兵隊仕様』についての紹介

 通常のゾリディアはゾロアットを地上用に改修したものであるが,そのゾリディアをさらにコロニー制圧用にしたもの。そのため宇宙空間でもそこそこ使える。

 ケリアム・ベルト特別戦闘部隊ではヒートランサーを標準装備。ただし,通常ショットランサー等の非ビーム兵器をコロニー制圧の歳にMSを爆発させないで撃墜するためのものだが,ケリアム・ベルトの場合完全に趣味(笑)串刺しにしたり・・・

 さらにベルト戦闘部隊ではこのヒートランサー以外に各機それぞれ独自の武器を持っている。それは次回のお楽しみに(笑)



プルツー「・・・黒犬が・・・それにしても連邦の方もあの中佐は何なんだ!特にジュドーとは怒らせるためだけに話しているのか?」

 まあ,あのバルトは変わった人だから。これかもますます活躍してもらいたい人でもあるし(笑)

プルツー「書いているやつがおかしいから,登場人物もおかしくなるということか・・・姉さんに似ているというあのプル=ミグトって子にも移らなければいいけど・・・」



 あとついでにコロニー公社の管区長って身分は拙者が適当に書いたものです。





 ということで,また次回もいつになるかわかりませんが,よろしくお願いします。

 あとみなさんの感想待っています。SSの具合がどうか結構心配なので感想いただけると大変ありがたく思います。

 待ってる!ハロ!




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