『プルが贈ったもの エピローグ1』




 ここはプル達が住んでいる街から少し離れたところにあるテクスがやっている病院。その一室のベッドで一人の少女が静かな寝息を立てている。十二番目の妹,プルトゥエルブである。



(プルたん,ツーちゃんはハサン先生とは面識はありませんし,それにガンダム一の名医と言えばやっぱりテクスでしょう。みなさんの診てもらいたいお医者さんNo.1はレインかもしれませんが・・・拙者的には看護婦ディアナは勘弁。悪いところは切り落とされるから・・・
ディアナ「あなたは顔を切り落としましょう♪ついでに頭も♪」)



 そしてそんなプルトゥエルブをベッドの側で心配そうに見ているプルとプルツー。

テクス「この子の体の傷は,しばらくすれば痕も残さないできれいに治る。その点は安心していい。」

プル「よかった。」

 テクスの言葉にプルは少しほっとする。
 でもプルは眠っているプルトゥエルブを見ながら思う。
 この子が最後に安心して眠ったのはいつなんだろう。
 あの戦闘で姉妹を失って一人になった時から,この子はどれだけ不安な思いをしてきたのだろう。そしてこの子は一人暗い宇宙に投げ出されて,コックピットの中でずっと震えていたのかもしれない。わたしだったら,プルツーがいなくなっただけでも耐えられない。
 それなのに,やっとたどり着いたところでも,あんな人達に暗いところに閉じ込められて何度も何度も殴られていた。
 この子は何も悪いことをしていないのに,何でこの子ばかりこんな目に合わされなければならないの。
 もし神様がいるのだったら・・・あんまりだよ・・・
 そんな思いが再びプルの中に湧いてきて,目にはまた涙が溢れ出す。

ガロード「プル,あんまり悲しそうな顔をするなって。そんなんじゃこの子も悲しい気持ちになるだろ。」

プル「そうだね・・・ガロード。」

 プルは手で涙を拭いながら答える。



 そんなプルトゥエルブの姿を見ながら怒りに震えている姉ちゃんが一人。

エニル「許さない!こんな小さな子をこんなにまで傷つける奴らなんて!」

 エニルは銃を取り出して状態を確認しながらそう言う。
 ちなみにエニルの姉ちゃんは何か知らんけど,テクスのところに愚痴りに来ていた。

(エニル・・・何やってんだ・・・)

ガロード「そいつらならもうプルツーに北斗神拳で肉塊に変えられているから。」

 ガロードはエニルに小声で言う。

エニル「そりゃそうよね。」



 そしてプルツーもそんなプル達のやり取りの少し後ろで遠慮がちにプルトゥエルブの様子を見守っていた。
 プルツーは思う。
 私はどんな顔をしてあの子と顔を合わせればいいのだろう。
 プルシリーズ,私以外の番号で呼ばれる妹達,自分というものを持たないように造り変えられた妹達,そんな妹達の存在を姉さんに知ってほしくなかった。
 姉さんを悲しませたくなかった。それは単なる言い訳なのかもしれない。もしかしたら単に自分だけが姉さんの妹でいたかっただけなのかも知れない。
 少なくとも分け隔てていた。自分達とシリーズと呼ばれる妹達を。自分が姉さんの側でありたいがために。自分の妹達なのに分けてしまっていた。プルツーにはそう思えてならなかった。
 そしてそんな自分の勝手な思いが,この子をこんなにも傷つけてしまったのかもしれない。
 プルシリーズ,そんな悲しい現実は姉さんにとってもショックだったはずだ。なのに姉さんはすぐにあの子を助けに行こうとした。あの子に微笑みかけることを選んだ。
 そう,かつて姉さんは自分を殺そうとした私のことすら助けてくれたのだ。なのに私は・・・
 確かに自分もプルトゥエルブを助けに行った。でも,あの時は単に自分のイラツキをやり手ババア達にひたすらぶつけていただけかもしれない。冷静になるとそんな思いが再びプルツーの頭に浮かぶ。

(ちょっと自己嫌悪気味なツーちゃんです。)



 そんな時,プルトゥエルブが目覚める。

プルトゥエルブ「・・・ここは・・・?」

 プルトゥエルブは光とともに目に映ったプルに尋ねる。

プル「ここは病院だよ。もう大丈夫だからね。安心して。」

 プルはプルトゥエルブににっこり微笑みながら答える。

プルトゥエルブ「プル姉さん・・・」

 ‘姉さん’というプルトゥエルブの言葉にプルはうれしそうな表情を浮かべて答える。

プル「そうだよ,わたしはあなたの姉さんだよ。」

 そしてプルは少し戸惑っていたプルツーの腕をぐいっと強く引張って,自分の傍に引き寄せて続ける。

プル「この子はプルツー。この子もあなたのお姉さんだよ。」

 そんなプルツーを見ながらプルトゥエルブは答える。

プルトゥエルブ「プルツー姉さん・・・?」

プルツー「・・・・・」

 プルツーは黙ったまま,プルトゥエルブにどう答えていいのか戸惑っていた。

プル「もう・・・プルツーは照れてるんだよ。姉さんって呼ばれるの初めてだから。」

プルツー「ごめん・・・」

 少し涙目になりながらそう言うのが精一杯だった。

プルトゥエルブ「姉さん・・・」

プル「そしてガロード,あなたを助けに私達といっしょに来てくれた人だよ。こっちがティファ。ティファはものすごいニュータイプだから何でもわかっちゃうの。こっちのお姉ちゃんがエニルのお姉ちゃん。わたしやプルツーにはいつも優しくしてくれるお姉ちゃんだよ。そして,テクス先生。」

(と何故かXの住人ばかり紹介されてしまうプルトゥエルブであった・・・まあ,いきなりシスコンやアル中や百合っ子を紹介してもな・・・待て!)

プル「テクス先生はお医者さんだけど,とってもいい人だから安心してね。」

 ‘お医者さんだけど’,テクスには引っかかる言葉だった。しかしそれも仕方がない。
 プルもプルツーも医者が嫌いだった。白衣を来た人間にはいい思い出が何一つない。いつもモルモットにされていた自分を思い出してしまう。



プル「今はゆっくり休んで,元気になってね♪」

プルトゥエルブ「・・・そう・・・早く体を直して私も戦わないと・・・」

 プルトゥエルブは静かに答える。そんなプルトゥエルブの言葉にプルが答える。

プル「・・・もう戦わなくていいんだよ・・・あなたが戦う相手なんていないよ・・・」

プルトゥエルブ「相手がいない・・・もういないの・・・」

プル「うん,戦う相手なんていないんだよ。だから安心して。」

プルトゥエルブ「・・・じゃあ,私はまたあそこで眠るの・・・」

 その時,プルはプルトゥエルブの言葉の向こうに何か寂しそうなものを感じ取った。

プル「あそこって・・・」

 プルトゥエルブの中にとても冷たくて寂しい場所が見えてくる。コールドスリープ,自分が造りかえられてしまう悲しい眠り。姉妹の中で自分だけが知らない冷たい世界。自分と最も近しい妹であるはずのプルツーも経験した悲しみ。プルは堪らなくなる。そしてプルトゥエルブは冷たいってこと,悲しいってこと,寂しいってそんな感情を表には出せずにいる。

プル「違う!違うよ!あなたはここにいていいの!あんなところに何て絶対に行かさないから!」

 プルはプルトゥエルブの手を握りながら言う。

プル「もう戦わなくていいだけだよ。」

プルトゥエルブ「じゃあ・・・私は何のためにいるの・・・」

プル「何のためって・・・あなたがあなただからいるんだよ。」

プルトゥエルブ「私は造られた・・・私のためでなく・・・マスターのために・・・」

 どこかまだ心に空洞が空いているかのような様子を見せるプルトゥエルブに,プルはゆっくりと語りかける。

プル「・・・・・あなたが言うように,誰かのために,自分の大事な人のためになれる,支えになれるって,それはうれしいことだよ。でもね,それは人に決められてじゃない。自分で見つけるの。大事な人。暖かい人。だから,そのためにも元気にならなくっちゃ。」

プルトゥエルブ「見つけに・・・」

プル「そう,見つけに行こうよ。だからそのためにゆっくり休んで体を直してね。」

 とプルはプルトゥエルブに微笑む。

プル「そうだ。お腹空いていない?食べたいもの,好きなものなんでも言って。」

プルトゥエルブ「好きなもの・・・?」

プル「そう,好きなもの。言ってくれたらすぐに用意するから。」

プルトゥエルブ「わからない・・・私達は出されたものを食べるだけだった・・・食事はみんな決まっている。」

プル「・・・・・」

 自分の妹達には食べ物の好みを持つことも許されていなかったことに,プルは再びショックを受けた。人として当然持つものも許されず,ものとして扱われていた妹達・・・そしてそんなプルトゥエルブに無神経な質問をしてしまったことを少し後悔した。それでもプルは続ける。

プル「じゃあ,おいしいもの用意するから♪」

 でも,プルのそんなやさしい言葉にみんなは何となく思ってしまう・・・

一同(病人にいきなりチョコパフェってのはなしだぞ・・・)

 刷り込みという呪いがまだプルトゥエルブを縛っている。そして,彼女の体と精神の消耗は激しく,しばらくテクスのところで治療を受ける必要があるということであった。
 結局,プルトゥエルブはしばらく入院して,その後通院という形に切り替えることになった。ただ,プルとプルツーは学校に行かなければならないこと,プル達の家からだとテクスの病院に通院するのはプルトゥエルブの負担になること,そして刷り込みの治療中に彼女のかつてのマスターであったと思われるグレミーにはあわさない方がいいという判断から,プルトゥエルブをプル達の家には連れて行かないことにした。もちろんプル達は学校が終わったら,プルトゥエルブのところにすぐにやって来ていろいろと世話をするのだけど。

 プル(もう!グレミーにはずっと温泉に言っておいてもらえばいいのよ!)



(そう言えばあの戦闘の後ということのはずなのにグレミー,この男はなんで抜け抜けと生きているんだ?

グレミー「ルーさんはとても優しい方ですから,ビームの威力を絞って生焼け程度にしておいてくれたのです♪」

 ルー・・・後でたかるつもりでそうしたのか・・・?(爆))



 その辺の事情がありプルトゥエルブを誰に預けるかが問題ではあったのだが,それはあっさりとエニルのお姉ちゃんが面倒を見てくれることになった。

プル「ありがとう,エニルのお姉ちゃん。でも,何で私達にこんなに親切にしてくれるの?」

エニル「なぜって?う〜〜〜ん,それはなぜだかわからないけど,あなた達のこと,妹のように思えるから。」



(どうしてZZの関係者に預けないかというと・・・

エルに預ける → 立派な虎に

ルーに預ける → 立派な虎に (それにルーの周りをグレミーがうろついているし・・・)

(『プルたん妄想』ではルーとエルはいつも飲んだくれています。OOのアル中なんて目じゃないぐらい(爆))

ルチーナに預ける → 立派な百合っ子に それにルチーナのことを「お義姉さん」と呼んでいることに(爆)

ハマーンに預ける → 立派な『怖いお姉さん』に

やれやれ,ZZにはろくな人間がいないな・・・

プルツー「お前の妄想のせいだろ!」)





 プルトゥエルブが落ち着くまでプル達も何日間かはテクスのところに泊まり込むことにしたのだが,一旦その用意をするために,プルとプルツーは自分達の住むマンションに帰って行った。



 そしてマンションに戻るとルーに従って温泉旅行に行っていたグレミーが帰っており・・・

グレミー「プル,プルツー!あなた達,どこに行っていたのですか?あなた達のような子供が外泊だなんてしてはいけないと言ったはずです!」

 と自分のことは棚に上げて言うグレミー。

グレミー「それにプル。あなた,その靴はどうしたんです!」

 プルがいつも履いている靴ではなく,サンダル履きになっていることにグレミーが気付きそう言う。

プル「・・・・・」

 プルは黙ったままグレミーに近づきガン!とその足を踏む。

グレミー「あが!」

プル「バカ!べ〜〜〜だ!バカ!バカ!バカ!」

 あっかんべーをしてプルは自分の部屋に入っていく。その目からは涙が少し溢れていた。

グレミー「プル!いきなり何をするのです!プルツー,プルはどうしてしまったのです?」

 しかし,ズンッと今度はプルツーの拳がグレミーの鳩尾にクリーンヒット

グレミー「おごご・・・」

プルツー「これで許しておいてやる。」

 と言って,グレミーをおいたままプルツーも自分の部屋へと入って行った。

グレミー「そんな・・・プルもプルツーも本当に不良になってしまったと言うのですか・・・ジュドーなんかに近づくから・・・」



 プルとプルツーは自分達の部屋に戻り,テクスの病院に泊まり込むための準備をする。

 荷物を持って出て行くプルとプルツーにまたグレミーが何かを言うが,プルもまた『べえーーー』で返す。



 テクスの病院へ再び向かうために,バスの停留所へと歩きながら再びプルツーは悩んでいた。

 私達は造られた?そう量産された?クローン?私にはコールドスリープにかけられる前の,造りかえられる前のはっきりとした記憶がない。じゃあ,自分達はコールドスリープで目覚めた時が生まれた時?
 違う。目覚めた時,私にはそこが地球だとわかった。グレミーのことも知っていた。それだけじゃない。言葉とかモビルスーツの操縦とかそんなものを知っていた。
 だから,科学的に考えても違う。そういう知識を人工的にインストールされたなんてことはない?そんな技術があるのだったら,自分は人として造られなかったはずだ。わざわざ人という脆弱な姿に作らなくても,生態コンピューターとかそういうものが作れるはずだ。
 自分の存在に対する不安が浮かんできて,そして人の形でないように造られた自分の姿を想像し,プルツーはぞっとする。



 そしてプルツーは強く思う。
 でも姉さんだけは違う。何があろうと絶対に違う。姉さんは何があろうと姉さんなんだ!



 ・・・やっぱり分け隔てている・・・あの子のことを・・・だから私は・・・v


 そんなゴチャゴチャとした考えがプルツーに浮かんでくる。
 そんな時,プルがプルツーの腕を引張って言う。

プル「プルツー,あれ♪」

 とプルは前を通りがかった店の中を指していた。プルが指差した先には赤いパジャマがディスプレイされていた。プルとプルツーが持っているパジャマとよく似たデザインの赤いパジャマが。

プル「あれ,プルトゥエルブに似合うんじゃない♪」

 いきなり我に返されたプルツーは少し気のない返事をする。

プルツー「そうだね・・・」

プル「それにわたし達とお揃いだよ♪」

プルツー「お揃い・・・」

プル「そうだよ。それぞれの色はあるけど,わたし達はみんな一緒だよ。」

プルツー「姉さん・・・」

プル「あなたはあの子のお姉ちゃんだけど,わたしの妹なのは変わらないんだから♪」

 プルはプルツーの頭を抱き寄せてポンポンとなでる。

プル「早く!早く♪」

 そしてプルはプルツーの腕を引張って店の中に入っていく。



 プルとプルツーがテクスの病院に着くと,プルトゥエルブは目覚めており,テクスに検診を受けていた。

プル「おはよう♪」

プルツー「どうだ・・・体の具合は?」

プルトゥエルブ「プル姉さん・・・プルツー姉さん・・・」

プル「パジャマ買って来たから,後で着替えてね。」

プルツー「あと下着とか身の回りのものも揃えて来たから。」

テクス「ちょうどいい。寝汗をかいてしまっているから着替えさせてやってくれないか。まだ入浴は無理だが,体の方も拭いてやってほしい。」

プル「うん♪着替えようね。」

 とプルとプルツーはプルトゥエルブの体を拭く用意を始める。

プル「もう!先生は出てくの!」

プルツー「それがデリカシーってやつだ。」

テクス「デリカシーか・・・」

 と少し苦笑いを浮かべてテクスは部屋から出て行く。



プル「早く元気になって,おフロ入れるといいね。」

 プルは傷にしみないように優しくプルトゥエルブの体を拭いていく。そしてプルツーはプルトゥエルブの伸びた髪に櫛を通している。
 そんなプルとプルツーにプルトゥエルブはどう反応していいのか戸惑っている。こんな風に優しくされたことはなかったのかもしれない。プルはプルトゥエルブにニッコリと微笑む。





 そして数ヵ月後
 エニルの家の前で赤い上着と白いパンツ,そしてその上に赤とオレンジのチェックのポンチョを羽織った少女がエニルに別れの挨拶をしていた。少女はまだ10歳くらいの子供であり,伸ばしたオレンジがかった栗色の髪を後ろで頭の後ろで結わえていた。すっかり傷の癒えた12番目の妹,プルトゥエルブである。

(プルたん達の髪の毛の色ってオレンジがかった栗色の髪って表現すればいいとユニコーンで初めてわかった・・・)

エニル「本当に行ってしまうの?」

プルトゥエルブ「はい。本当にお世話になりました。でも,私は行かなければならない気がするのです。なぜかわからないけど,私にはこの世界のどこかで他の姉さん達もきっと生きているように思えるから。でも,まだ目覚めてないかもしれない。だからそんな姉さんたちに,今度は私がプル姉さんの言葉を伝えたいのです。楽しいってこと,笑えるってこと,生きてるってこんなに素晴らしいってこと。」

エニル「でも,プル達には何も言わなくて本当にいいの。」

プルトゥエルブ「プル姉さん達が聞けば,きっと自分達もいっしょに行くと言い出すと思うんです。でも,私はプル姉さんには姉さんの暖かいと思える人のそばにいて欲しい。そして,プルツー姉さんはプル姉さんといっしょにいて欲しいです。」

 それがプルにとっていいのかどうなのかとエニルは複雑な顔をする。プルが暖かい人って言っているのは何しろあれだし・・・



プルトゥエルブ「本当に今日までありがとうございました。今は何もお礼ができなくて本当に申し訳ないのですが,いつかこのご恩は必ず。」

エニル「子供がそんなこと言わない。あなたはプル達の妹なんだから,私にとっても妹みたいなものなのよ。疲れたらいつでも戻ってくるのよ。」



 プルトゥエルブは何度もエニルに頭を下げながら去っていく。小さくなっても何度も。そして自分の旅へと歩みだして行くのであった。



 プルトゥエルブはプルとプルツーと過ごした幸せで楽しかった数ヶ月間を思い出していた。
 明るくて優しくて自由な心を持つプル姉さん,強くて気高くてそして本当は優しいプルツー姉さん。



 いつもプル姉さんは私に微笑みかけてくれていた。
 そしてプル姉さんはいろいろ私に楽しいって事を教えてくれた。



 私は伸びた髪の毛をプル姉さんやプルツー姉さん,そして他の姉さん達とお揃いだった元の髪形に戻さず,そのまま伸ばしていた。ちょっとした自己主張だったのかもしれません。
 そんな私の髪をプル姉さんはいろいろな髪型にしてくれた。今から思うとプル姉さんは私の髪で遊んでいたような気もしますが。
 プル姉さんが三つ編みを編んでくれようとして,それが絡まってしまって,解こうとしたら余計に酷くなってしまった時,プルツー姉さんがやって来て,私の髪で遊ぶなって,プルツー姉さんに怒られてプル姉さんは戸惑っていましたね。
 プル姉さんには悪かったけど,プル姉さんがプルツー姉さんにいろいろと言い訳をしているその様子が何だか無性におかしくて,吹き出してしまいました。
 これが笑うっていうこと・・・なんかとっても楽しい。
 いつの間にか三人で笑っていた。



 プル姉さんが何度も食べに連れて行ってくれたチョコパフェ,とっても美味しかったです。
 甘くってトロっとしていて,私も好きなってしまいました。
 そしてみんなで食べるのはとっても楽しかった。食事ってあんな風に笑いながらするものなんですね。



 私の体の傷が癒えたあと,プル姉さんは健康ランドってところに連れていってくれましたよね。
 大きなお風呂。私,あんなふうにお風呂に入るの初めてでした。お風呂の中で体を伸ばして浮いているのって,姉さんの言うように何か懐かしい感じがした。



 でもあの時,私の胸を見てからプル姉さん,少し黙り込んじゃって,どうしたのですか?
 次の日,私のところに来たのはプルツー姉さんだけでした。プル姉さんのことを気にする私にプルツー姉さんは「いつもの病気だ。気にするな。」って言ってましたけど,病気って・・・私すごくプル姉さんのことが心配でした。



(その真相



一つ下の妹は少しふくらんでいる。十二番目の妹もふくらみ始めているけど(プルたんから数えれば十一番目か・・・),わたしはペッタンコ。
個体差,というのを聞いたことがある。
わたしは一番上の姉さんでも,わたしの胸はひどく寂しい・・・・・。



プル「ジャミル=ミート!殺す!」

 と言いながらもプルたんはベッドで呻いていた・・・

プル「う〜〜〜〜〜ん・・・おなか痛いよう・・・」

グレミー「プル,あなた昨日牛乳3パックも飲むからです!これなんてだいぶ賞味期限を過ぎてましたよ・・・」

プル「う〜〜〜ん・・・う〜〜〜ん・・・お尻も痛いよう・・・」

 て,プルたんが汚れキャラに・・・

プル「ジャミル=ミート!絶対殺す!」

グレミー「プル,あなたがいくら牛乳飲んでがんばっても,あなたではルーさんのような長身美人になるなんて無理な話なんです。」

プル(しまった・・・あんまり牛乳飲んだら・・・わたし,ルーのように和○ア○子より高くそびえ立っちゃう・・・))



 プルツー姉さんは最初の頃,プル姉さんと一緒に私の世話をしてくれている時,何かすまなさそうな顔をして,どこか遠慮がちでした。

 でも,私のことを助けてくれた日から一ヶ月ほど経ったある日,プルツー姉さんと二人になった時,私に語ってくれました。

プル姉さんのこと,プルツー姉さんのこと。



プルツー「ごめん・・・ごめん・・・私がおまえ達のこと放っておいたから。私が戦えって言ったのに,なのに・・・私だけが姉さんを独り占めにしていた。その間におまえは・・・ごめん・・・ごめん・・・」



 プルツー姉さんは少し泣きながら言っていた。
 そしてプルツー姉さんは話してくれましたね。プル姉さんに助けてもらったって



プルツー「私は姉さんに助けてもらった。私は姉さんを殺そうとしたのに・・・姉さんを傷つけたのに。なのに,姉さんは必死で私のことを助けてくれた。ネェル・アーガマのブリッジで私は死にかけた。いや,一度は死んだんだ。でもその時,姉さんが来てくれて,暗いところに落ちていく私を呼び戻してくれた。私の耳元で必死で叫んで呼び戻してくれたんだ。私がダブリンで姉さんを殺そうとした時,キュベレイの脱出システムのおかげで姉さんは奇跡的に助かった。そして運良く救助隊に発見された姉さんは,その後必死で宇宙に上がってきた。姉さんは私のせいで怪我をしていたのに,気力で起き上がるのがやっとだったのに。アーガマのブライト艦長に頼んで,姉さんはエウーゴの艦隊に付いて戦闘の直後にあの宙域にやってきた。そして,そして私がネェル・アーガマのブリッジで消えかけた時,姉さんはブリッジに飛び込んで来て,必死で私のことを助けてくれた。そして私が気付いた後,姉さんは倒れた。姉さんは自分の体がボロボロになっていたのに私を助けてくれた。姉さんを殺そうとした私のことを。そして姉さんはいつも・・・私に笑いかけてくれる。」



 プルツー姉さんは声を詰まらせながら続けた。あの時の私はそんなプルツー姉さんに何も返せずにいた。



プルツー「なのに・・・なのに・・・私は今までおまえ達に何もしてやれなかった。私が戦えっていたのに・・・私はおまえ達のことを知っていたのに・・・私はおまえ達のことを放ったらかしにして・・・私だけ姉さんに甘えていた・・・そのあいだにおまえは・・・」



 プルツー姉さんはポロポロと涙を流して言っていた。



プルトゥエルブ「でも,プルツー姉さんは私のことを助けに来てくれた。私のことを助けてくれた。」



 あの時の私にはそんなことしか言えなかった。



プルツー「ごめん・・・ごめん・・・私はおまえ達を・・・ごめん・・ごめん・・・こんなことぐらいじゃ許されないのに・・・ごめん・・・ごめん・・・」



 プルツー姉さんは泣きながら私を抱きしめてそう言った。



 あの時はプルツー姉さんも戦うようにされていた。なのに,そういう風に思えるのはプルツー姉さんが本当に優しいからです。



 そしてプルツー姉さんのプル姉さんへの思い。
 二人の特別な関係。
 あ,別に私が遠慮してそう思っているのじゃないんです。
 姉妹だからわかるんです。二人の強い絆が。お互いを思いやっている心が。



 でも,プルツー姉さんは他の姉さんたちのことも気にしてくれていた。あの時からです。私には,なぜだか他の姉さんたちも世界のどこかで生きているような気がし始めたのです。だから私が探しに行きたいんです。
 私と同じで名前じゃなく数字で呼ばれた姉さん達。でも,いつの日か姉さん達といっしょに笑いあえる日があると思います。その時は,私達にも名前があるかも知れません。



 名前・・・



 プル姉さんにはエルピーという綺麗な響きの素敵な名前があった。でもプル姉さんは一度も自分のことをエルピー・プルと言わなかった。



 プル姉さんは造り物だった私を自分といっしょだって言ってくれた。



 プル姉さんが贈ってくれたもの。



 一つの種から何人にも分けられて造られた私達。自分のこともわからないように造り返られた私達。
 人が人の都合で造られる,開けてならない箱,そんな禁断の領域から造り出された私達。そう禁断の箱,パンドラの箱を開けてしまった私達。
 でもそんな私達にとって,プル姉さんは残酷な神様が残してくれた唯一の希望,そう『エルピス』なのかもしれません。



 プルトゥエルブは歩んで行った。



 プルトゥエルブ「心残りと言えば,一度プル姉さんの暖かいって人に会って見たかったな。プル姉さん達といっしょに私のことを助けてくれたガロードさんよりも素敵な人なのでしょうか?」




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