アクシズの少年たち
少年イルフレッド=アズルハはいつもように彼の秘密基地へ向かっている。昨日空襲があったので今日の学校は休みであり,イルはそのことを「やったー♪」と思っていた。そんな少年である。アクシズの空は岩肌が露出してごつごつしているが,晴れた気持ちのいい日だった。
だが,イルは廃墟の前で立ち尽くした。その廃墟は昨日まで彼らの秘密基地だった場所である。
「おらおら,作業の邪魔だから近づくんじゃねえ!」
とイルは作業員に追い立てられた。
「また,おまえたちか!」
と別の方から声が聞え,二人の少年が追い立てられている。それはイルの友人,この秘密基地の共有者のテイとチェルコットだ。背の高いのがテイ,そして太っちょの方がのがチェルコットである。そして二人もイルに気付く。
「イル,おまえも来ていたのかよ。もうこの秘密基地は駄目だな。」
「危ないから,入っちゃ駄目だって。きっと解体されるんだよ。」
とテイとチェルコットが残念そうにイルに話す。
彼らの秘密基地は元々無人の廃屋だったところだ。そこにイル達は集まって,遊びそしていろいろな空想の世界を膨らませていた。ある時は連邦軍を阻むジオンの宇宙要塞,ある時はアフリカ軍団の地下基地,さらにはイル達が攻め込む連邦本部ジャブロー。
「そうそう,イルおまえも聞いてるよな,昨日エウーゴがアクシズに攻め込んできたって。」
とテイがイルに言う。
「うん,ガンダムが空襲かけて来たってテレビで言ってたよ。卑劣にもエウーゴは一般市民を標的にした攻撃をしてきて,それに対しアクシズ守備隊は果敢に防衛戦闘を行ったって。その戦闘ってちょうどここでだったんでだろ。秘密基地もそれでやられちゃったんだね。でもその戦闘は見たかったなあ。」
と少しいるが残念そうに言うと,それを聞いてテイとチェルコットは得意げな顔になる。そして
「僕達はその現場にいたんだ。」
「そりゃあすごかったぜ。キュベレイまで出撃して,ガンダムと戦ったんだから!」
自慢げに語り出した二人にイルは驚きながら答える。
「キュベレイ,それってハマーン様の?」
「それはわからないけど,あのキュベレイ黒かったよな。」
「ああ・・・」
「それだけじゃないぜ,俺たちはそこですごいものを手に入れたんだ。」
「すごいもの?」
「見せてやるから,ついて来いよ!」
とテイがイルを誘う。そして三人は少し離れた第2秘密基地である廃倉庫に向かった。
テイの行き先はその廃倉庫の裏側の軒下だった。そこからテイとチェルコットはプラッターの上に乗せられ,シートを被せられた何かを大切そうに出してきた。
「見て驚くな!」
「じゃ〜〜〜ん!」
とテイとチェルコットは自慢げにそう言ってそのシートを捲くった。シートの下から漏斗の形をした機械のようなものが現れる。その漏斗には多数のバーニアと先端に銃口のようなものが付いていた。
「これって,もしかして・・・ファンネル!?」
イルは驚きの声を上げる。イルが驚くのも無理はない。ファンネルはネオジオンの象徴とも言えるモビルスーツキュベレイの必殺の兵器である。そんなすごいものが目の前にあることが不思議であり,感動的出来事だった。
「昨日ここでキュベレイとガンダムが戦っていた時,故障して落っこちてきたやつを一機かっぱらってやったんだぜ。」
とテイが興奮気味に言う。
「何故かあの時,キュベレイのファンネルみんな落ちちゃったけどね。故障でもしたのかな。キュベレイ大丈夫かな。」
とチェルコットが付け加える。
「すごい・・・。」
そんな二人の話を聞いているのか聞いていないのか,イルはファンネルの周りを回りながら,それを食い入るように見回している。
「触ってもいい?」
とイルが遠慮がちに尋ねる。
「ああ,ちょっとだけだぞ!」
テイがもったいぶりながら言う。
「動かない?」
イルが恐る恐る手を伸ばしながらまた尋ねる。
「多分な。」
そっとファンネルに手を触れる。ファンネルは冷たかった,それは当然のことなのだが。それでもイルは感動して,テイとチェルコットに言う。
「すごいね。こんなの手に入れちゃうなんて。モビルスーツが戦ってたんでしょ。危なくなかった?」
「そりゃあ危なかったさ。何て言ったってモビルスーツが頭の上で撃ち合っていたんだから。」
「だが,俺たちは勇敢な兵士だ。戦果のためにはどんな危険なところにでも飛び込んで行かなければならないのだ!」
テイが自嘲気味に語る。
「怪我とかしなかった?」
「見てのとおり俺たちはピンピンしてるけど,チェルコットの弟がな・・・」
イルの問いに少し顔を曇らせ,テイはチェルコットの方を向きそう答える。
「僕達とは別の場所でキュベレイを見ていたらしいのだけど。その時逃げ遅れて怪我しちゃって。公園で遊んでいたらキュベレイとガンダムが落ちて来たって。」
「怪我したって大丈夫なの?」
「なんかあんまり近くにいすぎて逃げ遅れたって。ま,こいつといっしょで肉が余計にあるから一番逃げくれてしまうんだけどな。」
「でも,怪我は大したことないから。爆発で吹っ飛ばされたらしいけど転がっただけだったんだって。」
「ま,それも肉があったおかげだけどな。」
とテイがチェルコットに突っ込む。
「うるさいなあ,もう。」
そんなテイのやや不謹慎なきつい冗談だったが,少し場が和む。そういう冗談が言えるということは怪我の方は本当にたいしたことはなかったのだろう。
「そうそう弟で話し忘れていたんだけど,弟から聞いたのだけどさあ。キュベレイに乗ってたパイロットって僕達ぐらいの女の子だったっんだって。」
と意外な言葉がテイの口から飛び出す。
「嘘に決まってらあ!」
とイルはそれに即座に答える。
「ほんとだって。本当に俺たちぐらいの女の子だって言ってたよ。弟はすぐ近くで見てたって言ってるし。」
チェルコットも言い返す。確かに逃げ遅れるくらい近くにいたというのは本当だ。
「そんなわけないだろ!でもよお,もしそんなのだったら俺もパイロットにしてほしいよな。モビルスーツ乗ってみたいぞ。「テイ,ゲルググイェーガー出る!」なんてさ。ほんと,もし俺らぐらいの女の子がパイロットやってんだったら・・・ちっくしょうー!本当にうらやましいぜ!」
と真剣にうらやましがりながらテイが言い,それにイルも続く。
「そうだよね,僕もうらやましいと思うよ。パイロットかあ・・・なりたいよなあ。そしたら僕は『赤い彗星』みたいになってやるんだ。モビルスーツに乗って宇宙を駆け巡って」
アクシズの空を眺めながらイルは自分の夢の世界を想像する。
「じゃあ,俺は差し詰め『ソロモンの悪夢』ってところだな。」
腕を組みながらテイが言う。それに続きチェルコットも
「僕は『青い巨星』で。」
テイとチェルコットも自分の夢を膨らませる。さっきの女の子の話は忘れしまい,そして3人は自分たちがエースパイロットになったつもりで「バキューーーン!!」「バーン!」と戦争ごっこを始めるのであった。
「おい,イル!今の当たっただろ!」
「赤い彗星はニュータイプだからかわせるのだよ!」
「バキューーーン。バーン!」「ドキューン!」「ドドドドドドドドーーー!」
そんな少年たちの声がアクシズの空にこだまする。
といきなりこんな話を書いてしまいましたジャミル=ミートっす!
それで何を言いたかったかというと
『プルとアクシズと』のプルたんの暴走では誰も死んでいません!!!
というふうに妄想してみました。
前にも『プルとプルツーについて語るスレ』でプルの暴走について話が出た時,拙者は
「人の戦に巻き込まれて死ぬような奴は最初から生き残る力のない雑魚だ。そんな奴の生き死になんて知ったこっちゃねえ!」
なんてどこかの黒い戦士の真似をして言っていましたが,プルの手は血で汚れて欲しくないのです。もし死者が出ていて,後でプルがそのことで負い目をみたり,傷ついたりしたら嫌なんです。「全部ジュドーが悪いんじゃーーー!」と言っても,プルたんはやさしい子ですから自分の我が侭で人が死んでいることに気付いたら傷つき自分を否定してしまうのではないかと思いました。
だから,こんな妄想をしてみました。
甘いといわれるかもしれませんが,プルのことを守りたいのです。
『プルとアクシズと』を見返してみましたが,直撃を受けている人もいませんでしたし,ファンネルは確かレーザービームですから,直撃を受けないかぎりそれほど被害は出ないでしょう。(爆風で吹っ飛ばされていた人もいましたが,それは怪我程度で済んでいたと妄想しましょう。)
話に出てきた3人組はもちろん『ポケ戦』の3人組のパクリです。
そういえば0079時のあのアル達って小学5年生ですから,プルと同学年というわけですね。そのわりにはアルの背は低すぎるような気がしますが(笑)
イルフレッド君は本物のアルよりやや慎重な性格のようですが(笑)
まあ,何でわざわざこういう回りくどい妄想をしなければならないかということもありますが・・・まあ,それは何となくお話にしてみたかったということでありまして。
ちなみにイル達の秘密基地のあったところはプルのファンネル攻撃を受けていたあの建物。無人だったのですねえ。と勝手に妄想・・・
変な妄想でしたが,できれば感想待ってま〜っす!
最近拙者のSSってあまりプルの話になっていないのではという悪寒が・・・プルが全然出てこないし・・・
それでは
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