精霊
考察
他界
神話の世界
妖精の国
日本における他界
妖精
精霊
怪物

シャーマニズム
真間手児名
 この節では、精霊について見ていこうと思う。
ただ、一口に精霊といっても妖精と精霊の違いはどこなのか、
などという疑問が出るほどに、両者の定義が分かりづらいので、
精霊ではない存在をこの節で紹介したり、
妖精でない存在を前節で紹介していたり
ということがあるかもしれない。
しかし、そのような部分については、ご了承いただきたい。
それでは、最初に前節でも少し触れた、四元素の精霊から見ていこう。
 地・水・火・風の地の精霊ノーム(Gnomes)は、
Ge(大地・地球)+nomus(住居)を語源としているという。
地下に住む者を意味する、パラケルススの造語である。
女性名詞となると、ノーミード、ノーミーデスであるという。
髭を生やした老人というイメージを持ち、
地中を自由に動き回るといわれている。
また、語源にgnosis(知識)が含まれているとも言われ、
地下の財宝の在処を知っているとか、
それを守る役目を持っているとも言われている。
ノームには、小人というイメージも強いため、
見た目に関する描写も多くある。
それによると、彼らは、頭巾のついた褐色の服を着ていて、
身長は、平均で約1メートル、耳が短くて広い。
そのため、どんな小さな音でも聞き取れる。
男は赤、女は緑の三角帽子を被り、ブーツを履いている。
古い木に住んでいて、器用であるとされている。
 火のサラマンダーは、トカゲの姿をした精霊である。
サラマンドラと読まれることもあるようだ。
大きさは、手のひらに乗るほど小さいというが、
個人的には、それほど小さいイメージはない。
小さな竜であるとか、虫を食べる両生類であるとも言われる。
真黒で、滑らかな皮に黄色の斑点があるというのは、
随分と具体的な描写である。
燃え盛る火の中、火山の火口や溶岩の中に住み、
炎を食べて、体皮を再生させるという。
炎が適当な温度になれば、自然にその中に出現するといい、
錬金術において、鉛を金に変える工程の温度が、
サラマンダーに適した温度であるといわれている。
そのため、サラマンダーは、錬金術に不可欠な火の霊といわれている。
また、アミアントゥスという錬金術における物質は、
「火の中でも燃えない石」という意味であることから、
サラマンダーという別名を持っている。
このサラマンダーについての面白い記述がある。
プリニウスの『博物誌』10巻において、
サラマンダーは、氷のように冷たくて、
火に触れると溶けるというように記されている。
火の精霊が、火に触れると溶けるとは、一体どういうことなのだろうか。
同じ本の11巻には、火の中に棲み、
空気の中へ出るとたちまち死んでしまうという、
四足で翼のある虫が記されており、
これと10巻の方のサラマンダーが
混同されてしまったのだという人がいる。
我々のイメージするサラマンダーは
本当のサラマンダーではないのであろうか。
また、サラマンダーを火の中に棲み、繭を出す虫であるとし、
その糸を紡いで、火で洗濯する繊維―石綿という物、
サラマンダーの皮だといわれていた―を作っていたという記述もある。
この事から、サラマンダーを動物(精霊が動物かどうか疑問だが…)でなく、
物質だとする説もある。
これらの記述には、共通して火の中に棲む虫が出てくる。
常識からすれば、そんな虫が存在するはずがない。
だが、ヒマラヤの氷河の上に生息する虫もいるという。
火の中に棲む虫もあるいは…。
そして、氷のように冷たい、火に触れると溶けてしまうという生物も、
ひょっとしたら…。
 上記の2精霊とは違い、風のシルフと水のウンディーネは人間に近い、
人間と妖精の中間の存在といわれている。
どちらも男女両性が存在したが、
次第に細身の優雅な若い娘の姿になっていった。
そよ風はシルフの声だという。
女性名詞はシルフィードである。
純潔な人は、風の精になるといわれている。
シルフは、(おそらくウンディーネも)超自然的存在と
自然的存在の中間であり、実体と非実体の中間であるとされている。
シルフという言葉は、細身の女性に対するお世辞としても使われたという。
 ついでながら、ジンについても説明しておく。
前節でも触れたようにジンはイスラムにおける精霊である。
人間を水と土から創り、ジンを火と風から作ったともいわれるし、
ジンを水・土(地)・火・風と分ける場合もある。
その場合、水はマリッド、土はダオ、火はイーフリート、
風はディジニとなる。
こちらの場合は、上記のパラケルススによる四精霊のような
個別の記述はない。
ジン一般の説明をする。
コーランによれば、彼らは神によって作られた精霊で、
変幻自在な存在である。
回教伝説によれば、アッラーは、3種類の理知的存在を創造した。
光から天使を、火から妖霊(ジン)を、土から人間を創った。
ジンは単数では、ジニーと呼ばれる。
身長や容姿を自由に変える事が可能で、
宮殿や莫大な金を作る事もできる。
たいていは、指輪や壺に封印されており、
解放してくれた者の望みを叶えたり、
封印されていた間に悪に染まったジンの場合ならば、
その者に悪意を抱くこともある。
ジンは、人に取り憑く場合もあり、
すばらしいジンが取り憑けば、その人は賢者になるが、
凶悪なジンが取り憑けば、その人は狂人になるという。
 ギリシア神話には、ニンフという精霊が登場する。
地上で人間のような生活をする者もいれば、
神の侍女として神に仕える者もいる。
空を飛んだり、姿を消したりという事ができる。
ニンフというのは、全体の名前で、
住んでいる場所によって、いろいろな種類が存在する。
海を支配しているのが、ネレイデス(単数ネレイド)、
オケアニデス(単数不明オケアニド?)、
山や洞窟は、オレアデス(単数オレアド)、
森は、アルセイデス(単数アルセイド)、峡谷は、ナパイアイ(単数不明)、
湖は、リムニアデス(単数リムニアド)、泉や川は、ナイアデス(単数ナイアド)、
これらは不死であると言われている。
人目に触れず、木の中に住み、木とともに死ぬといわれるのは、
ドリアデス(単数ドリアド)、ハマドリアデス(単数ハマドリアド)である。
美しく、誠実な乙女であるといわれる彼女たちだが、
民間では、人間の男をさらって殺すという風に伝えられているという。
 ここから、今回新たに知る事となった、
スラヴの民間信仰における精霊たちを紹介する。
スラヴ神話において、神の軍との戦いに敗れ、天上から地上へ落とされた
悪魔の軍勢のなれの果ての一つに森の精がいる。
この森の精は、スラヴ全域に知られており、
ロシアでは、レーシー、レソヴィク、レシャーク、レソヴォイなどと呼ばれ、
白ロシアでは、レサヴィク、ウクライナでは、リスーン、ポリスーン、
セルビアでは、レスニクなどと呼ばれる。
これらの名称の由来は、「森」を意味するスラヴ語レスである。
ポーランド語において「森」を意味するのは、ブルであるため、
ポーランドでは、ボロヴィ、ボロヴィェツ、ボルータ、チェコでは、
ポロヴィートなどが森の精を意味している。
レーシーは、森を通る人を迷わせたり、脅したりするため、
猟師や牧童たちは、レーシーたちのご機嫌を損ねないように
パンやタバコを木の切り株などに置いたりしたという。
東スラヴのレーシーは、周りの植物にあわせて
背丈を変えることができるという。
レーシーは、動物たちの王であるとも言われている。
続いて、水の精を紹介する。
こちらも森の精と同様、悪魔の軍のなれの果てである。
ロシアにおいては、ヴァジャノイと呼ばれ、
馬の代わりになまずに乗って水の中を移動するといわれている。
彼らは、人々を水の中へ引きずり込んで溺れさせるという。
魚たちの支配者であると信じられており、猟師たちは、
漁に出て最初に取れた魚やタバコをヴァジャノイに捧げたという。
水車小屋を建てる時なども、ヴァジャノイの許しを得るために、
小屋の下に黒い雄鶏を埋めたりしたという。
チェコやスロバキアにおいては、ヴォドニークと呼ばれ、
川面に赤いリボンを突き出して、それに触れた子どもを
水の中に引きずり込むといわれている。
南スラヴで報告される女の水の精は、ヴィーラ、
またはサモヴィーラと呼ばれている。
空を飛ぶ事のできる魔法の着物を着ていて、水を止める力を持ち、
井戸や湖を支配しているという。
死の予言もするというが、女の水の精の報告は東スラブに多いという。
 スラヴ人は、家にはその家の主である
家霊が棲んでいると考えていたという。
この精は、ペチカ(ロシア風の暖炉)の近辺に棲むので、
かまどの霊ともいわれている。
ロシアでは、ダマヴォイ、白ロシアでは、ダマヴィク、
ウクライナでは、ドモヴィクとそれぞれ呼ばれている。
その姿は、老人であるといわれている。
馬の面倒を見るといい、気に入った馬の鬣を
お下げ髪に編んだりするという。
スラヴ人にとって、家霊は一家の重要な成員であり、
引越しの際には、新居に改めて家霊を招くという。
キキーモラと呼ばれる、女の家霊は夜中に赤ん坊を泣かせたり、
糸紡ぎをしたりするという。
キキーモラの姿を見たり、糸紡ぎの音を聞いたりするのは、
不幸の前兆であるとされている。
北部ロシアの蒸し風呂、バーニャには、
バーンニクと呼ばれる家霊が存在する。
夜、風呂小屋で娘の背や尻を打ったり、撫でたりするという。
その手が柔らかい、毛むくじゃらの手であったならば、
吉兆であるとされている。
 東スラヴや南スラヴには、出産の神が存在する。
この存在は、ロード、またはロジャニツァと呼ばれた。
産婦を悩ませると考えられていたので、
パンや蜜、チーズなどが供えられたという。
ブルガリアでは、ナレチニツァ、セルビア、クロアチアでは、スヂェニツァ、
スロヴェニアでは、ソイェニツァと呼ばれる同様の存在が伝えられている。
白衣の少女の姿で、出産の夜の真夜中に
子供の揺り籠に忍び込んでくるという。
このページのトップヘ
魔女のGIF画像
ハチ娘のGIF画像
戻る