妖精の国
考察
他界
神話の世界
妖精の国
日本における他界
妖精
精霊
怪物

シャーマニズム
真間手児名
 次に、主としてケルトの妖精に関する民話に登場する他界、即ち、
妖精の住処、妖精の国について見ていこうと思う。
なぜ妖精なのかといえば、私が「他界」や「他界生物」というテーマを
メインに研究しようと決めるまでの間に、漠然と研究対象にしよう
と思い、文献を集めていたのが妖精に関するものだったからである。
また、ケルト神話の世界として使わなかったのは、ケルト人が、
神々の世界や死者の世界、そして妖精の世界を、ほとんど同一視し、
さらに、人間の世界と明確に分けず、時に人間がそちらの世界に
迷い込んでしまうほど近くに存在するものであると考えていたためである。
妖精は、新しい神々(アイルランド人の祖先といわれるミレー族、
または、キリスト教の神)によって、地下に追いやられた古い神々である。
元々、神々が住んでいた世界は、いわゆるケルトの地である。
地下に追いやられた妖精の世界のほうが、
むしろ他界的要素を強く孕んでいるのである。
 ケルトの地には、イスという伝説の都が存在していたという。
伝説によれば、その都の美しさは、パリ(Par-Is=イスのような町)
の語源に使われるほどだったという。
この水没したという都が本当にあったかどうかは別として、
ケルトにおける「他界」をどこか象徴しているような伝説である。
ケルトにおける「他界」―日本風にいえば、「あの世」―は、
空の上の世界ではない。
内陸に住むケルト人にとって、それは地下や湖の底、丘の中であり、
臨海に住むケルト人にとっては、海の彼方や海の底なのである。
そこは、いわゆる死者の世界、我々が死後に赴くべき世界である。
その世界で、死者たちはこの世に生きていたときと変わらずに
生きているといわれている。
そこには、老いも労働も病気もなければ、風や雨もない。
そして、時間さえもないのである。
ティル・ナ・ノグ―常若の国―と呼ばれる所以である。
また、そこは常夏で、木々が常に実をつけている。
こういった「他界」にすむ死者たちが、時に妖精や小人となって、
「この世」に出没し、人間に幸福、または不幸をもたらすのである。
場合によっては、人間を「あの世」に連れ去ることもある。
こういった死後にのみ訪れることを許される世界へ、
生きたまま入ることができる人間もいるという。
それは、イムラヴァと呼ばれる、ケルトの航海物語や、
多くの他界への旅物語の主人公である、
特別な聖者や英雄たちだけである。
傷を負った、アーサー王が赴いた、アヴァロン島という魔法の島も
そういった他界のひとつである。
 それでは、個別の妖精に関する説明は、第2章で行うとして、
ここからは、妖精の国についての簡単な説明をしようと思う。
妖精の国には、様々な呼び名があり、上記の
ティル・ナ・ノグ(常若の国)以外にもフェアリーランド、エルフランド、
エルフハイム、中つ国、異界、他郷、楽園といったものがある。
その場所についても様々で、ティル・ナ・ノグと呼ばれるときは、
海の彼方であるといわれ、波の下の国として語られるときは、
ティル・フォ・スイン(波の下の国)、または、エヴーネ。
至福の島イ・ブラゼイル、白銀の国フィンダーガットは、
海の中の世界といわれ、霧の彼方なら、光の国ティル・ナ・ソルチャ、
丘の中なら、幸い野原マグ・メルと呼ばれる。
妖精の国は、薄明かりの下、緑の草地が広がり、道は曲がりくねっている。
そこには泉が湧き、蜜やぶどう酒が流れている。
そして、王が住む、城や宮殿が存在する。
このような妖精の国への行き方は、妖精に導かれたり、
誘拐されたりという、極めて非日常的な状況がほとんどである。
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