神話の世界
考察
他界
神話の世界
妖精の国
日本における他界
妖精
精霊
怪物

シャーマニズム
真間手児名
 他界についての考察ということで、
最初に見ていこうと思うのが、神話の世界である。
断定はできないが、世界中のほとんどの民族は、
神話というものを持っているはずである。
神話の世界が一般的な他界のイメージと
イコールで結ばれるとは思えないが、
ここでは広い意味での他界の一つとして見ていきたい。
余談ながら、私は日本の神話すらほとんど知らない人間なので、
なんとも要領を得ないような内容になるかもしれないが、
その点に関してはご了承願いたい。
なお、ここでは、独断ながら比較的
日本人にも馴染みのある神話を中心に見ていこうと思う。
 それでは、まず最初にギリシア・ローマ神話の世界を見ていこうと思う。
詳しいことは分からないが、このギリシアとローマの神話は、
神様の名称に違いはあるものの、
ほぼ同一のものとして認識されているらしい。
ゼウスとジュピター(ユピテル)、ポセイドンとネプチューン、
アフロディーテとヴィーナス…といった
異なる名称で呼ばれる同一人物がいる。
このギリシア・ローマ神話には、パンドラの箱、
ペルセウスのメドゥーサ退治、パリスの審判とトロイ戦争、
ヘラクレスの冒険といった、我々日本人でも
なんとなく聞いたことはあるようなエピソードが含まれている。
そんなギリシア・ローマ神話の世界は、一体どのようなものなのだろうか。
 古代ギリシア人は、この世界を円盤型の平たい島だと考えていた。
その島の周りは海ではなく、巨大な川、オケアノスに囲まれている。
空は、銅か鉄のような固い物質で、ドーム状に地球を覆っている。
また、空は神々の住処であるオリュンポス山の頂上でもあった。
東の果てには、空と大地がくっついている、太陽が昇る場所があり、
日の沈む西の果てには、暗闇の世界、冥府の入り口がある。
神々の住まうオリュンポスの楽園は、
天と地を分かつ永劫不滅の神々の宮殿であり、人間の入る術はない。
青い空のもとに光がみなぎり、雨や雪だけでなく、
風さえもそこを通る事を避けた。
この神々の世界と地上とは、四季の女神ホライが守る
雲の門で結ばれていた。
ここを通って、神々は地上へ降りたり、
また神の宮殿へと戻ってきたりしていたのである。
このオリュンポス山は実在しているし、
エピソードの一つの舞台となるトロイの遺跡も、
元々人間界の話ではあるが、ただの伝説でなく、
シュリーマンによって発見されているのは、よく知られている。
ギリシア・ローマ神話の世界は、自分たちの知る限りの世界に、
オリュンポス山の頂上という神々の住む世界を加えた世界だといえる。
 次に見ていく北欧神話の世界は、ギリシア・ローマ神話に比べて、
知名度こそ低いが、人間の世界の他に、巨人族の国、小人の国、
神々の国などがあり、他界的要素が強いので、
ゲームの設定などによく使われているように思われる。
俗に北欧神話と呼ばれるものは、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、
フィンランド、アイスランドなどの
北欧ゲルマン人たちによって残されたものである。
そのため、ゲルマン神話と呼ばれる事もある。
北欧神話の世界で、最も重要な要素は、宇宙の中心にあって、
宇宙を支えているという、世界樹ユグドラシルである。
この樹は、巨大なトネリコの樹とされている。
そして、ユグドラシルというのは、
「オーディンの神の馬」という意味であるといわれている。
この世界樹には、3本の根があり、1本は神々の世界へ、
もう1本は巨人の国へ、最後の1本は霧の国、死者の国へ伸びている。
神々の国へと伸びた根には、ウルドの泉という霊泉が湧いており、
巨人の国へ伸びた根には、知恵と知識を与える霊泉、
ミーミルの泉が湧いている。
死者の国では、ニドヘグという毒竜が、世界樹の根をかじっている。
このニドヘグと、世界樹の梢にいる巨大なワシ、フレースヴェルグは、
天と地の覇権をかけて、いがみあっている。
ラタトスクというリスが、両者の間を往復して悪口を伝えている。
フレースヴェルグが羽ばたくことで、この世界に風が吹くのだという。
世界樹によって支えられた世界の周りには、海があり、そこには
自分の尻尾をくわえ込んで、世界を取り囲んでいる巨大な蛇、
ヨルムンガルドがいる。
そして、この世界では、太陽はスコル、
月はハティという狼に追われている。
さらに、その太陽と月をソールとマーニという人間が導いている。
この二人は、それぞれ太陽、月と名づけられたがために
神の怒りに触れてしまったのである。
また、光り輝くテリング神の息子ダグを昼として、
ダグの母で、テリング神の妻であるノートを夜として、
馬車を与えて、天を走らせている。
以上、北欧神話の世界を簡単に説明したが、続いて、
北欧神話の世界に存在する国、または世界について説明する。
上の方で、何の説明もしなかった、
オーディンの一族であるアース神族の住む国、アスガルド。
オーディンは、魔法の槍、グングニルを持つ、北欧神話の最高神である。
英語の水曜日、WEDNESDAYは、オーディンの日であるという。
ルーン文字と呼ばれる北欧のアルファベットを発明したのも、
このオーディンであるといわれている。
オーディンらアース神族とは、かつて敵対していた
ヴァン神族が住む国は、ヴァナヘイムと呼ばれている。
ヴァン神族の代表的な女神、フレイアは、金曜日、
FRYDAYの語源である(オーディンの妻、フリッグに捧げられた日とも)。
その他、妖精の国は、アルフヘイム、
黒い妖精の国は、スヴァルトアルフヘイム、人間の世界は、ミッドガルド、
巨人の国は、ヨツンヘイム、小人の国は、ニダヴェリール、
死者の国は、ヘルとされている。
炎の国ムスペルヘイムと氷の国ニブルヘイムは、
神々の祖先が誕生するより以前から存在していたようである。
他に、オーディンが、戦いの女神ヴァルキューレを遣わして、
地上から連れ帰った戦死者たちが、日々、戦い続ける、
ヴァルハラという宮殿もある。
北欧神話の世界には、
人間の世界とはかなり離れた他界が存在している。
 さて、上記の二つの神話以外にも、この世界には多くの神話があるが、
それらには、オリュンポスなどのような神々の国の描写は、
どうやら、あまり存在しないようだ。
そこで、以下に幾つかの国の神話における、
その国(世界)の創世神話について述べ、
神話における他界の考察を終えようと思う。
 スラブ人というのは、ヨーロッパの東部・北部に住む民族、
ロシア人、ポーランド人、ブルガリア人などのことであるらしい。
単に、私がそのことを知らなかったというだけだが、一応記しておく。
スラブ神話といわれても、一体どのようなものなのか、まるで分からない。
それくらい、このスラブ神話というものは、
日本人には馴染みのない神話であるのだろう。
それとも、スラブという言葉の意味と同様に、
私が知らなかっただけであろうか。
ちなみに、最も重要な神は、雷神ペルーンというらしいが、
ご存知だろうか。
このスラブ神話にも、民族によって、
いくらかの内容の差異が見られるようだが、
ここでは2つほど見ていこうと思う。
 ブルガリアの民話における創世神話によると、
最初、世界には水しかなく、そこには神と悪魔だけがいた。
神と悪魔は、水の底の土から大地や人間を創った。
神は、天使、蜜蜂、人間などを創り、悪魔は、やぎや狼などを創った。
そして、生きている人間は神のもの、
死者は悪魔のものという約束が交わされた。
 北部大ロシア・オネガ地方における創世神話においては、
最初、世界には、海しかなく、そこを神と悪魔が乗っている、
それぞれ白と黒のホオジロガモが泳いでいた。
海底からとってきた土で、神は平原や広野を創り、
悪魔は峡谷や岩山を創った。
その後、神と悪魔は軍を創り、戦争をし、結果として神の軍が勝つ。
それによって、天から落とされた悪魔軍は、
ヴァジャノイ(水の精)、レーシー(森の精)、
ダマヴォイ(家の精)などになった。
 ペルシア神話には、歴史的に3つの段階が存在するという。
最初は、古代ペルシア神話で、次にゾロアスター教における神話、
最後に、『シャー・ナーメ』という民族叙事詩における神話である。
今日、ペルシア人が自国の神話としているのは、
『シャー・ナーメ』における神話であるという。
しかし、『シャー・ナーメ』には、天地創造などの神話は、
収められていないという。
以下に述べる天地創造神話は、
ゾロアスター教における神話によるものである。
 天地と万物は、6段階に分けて、365日かけて創造された。
第1段階は、空で、40日、第2段階は、水で、55日、
第3段階は、地で、70日、第4段階は、植物で、25日、
第5段階は、動物で、75日、第6段階は、人間で、70日、
各々五日の休息を挟んで創られた。
空は、石、または、輝く金属で創られた。
一緒に、天体、12宮の星、悪神の軍との戦いのための
648万の戦星も創られた。
水は、水の女神アナーヒターの泉から流れ出て、
大海ウォルカシャに注がれた。
地は、泥水で創られた。
地表は円形で、平面。
そこに、植物のように山が生え、最初に生えた山は、
アルブルズ(ハラー)山と呼ばれ、8000年の間に天頂に達する。
その山頂の東西には、180の窓があり、
太陽は、東の窓から昇り、西の窓へ沈む。
こうしてできた世界は、7つの地域に分けられて、
後に創られる人間が住む、世界の中心、中央地域は、
他の6地域を合わせた面積に匹敵する。
善神がアルヤナ・ワエージャフの国を創ると、
悪神は河に蛇を創り、また、冬を創った。
ニサーヤの国を創れば、不信心の罪を、ハラワイティーの国を創れば、
死者を埋める罪を、カクラの国を創れば、死者を焼く罪を、
というように、善神が16の国を創ると、
悪神は、それに対抗するものを作り、
善神の国の繁栄を妨げようとした。
植物は、最初に大海ウォルカシャの真中に作られた
一本の巨木から生え出して、膨大な数となった。
その巨木には、巨鳥スィームルグ(サエーナ)が巣を作っていたので、
「サエーナの木」と呼ばれた。
この木は、万病治療の木とされている。
その近くには、もう一本巨木があり、こちらは「白ホーム」という。
長寿を授かる木といわれる。
これらの巨木を巨魚カラが守っている。
動物においては、最初に、白く月のように輝く牡牛が創られた。
この牡牛が悪神の攻撃によって殺されると、牡牛の精液は月に運ばれ、
月の光で清められ、牡と牝の牛が生まれた。
それに続いて、282対の様々な動物が生まれた。
そして、四足獣は地上、鳥は空中、魚は水中に
それぞれ住むように定められた。
最後に、人類の祖・カユーマルス(ガヨーマルト)が創られた。
カッコ内は、ゾロアスター教神話における呼び名ということである。
 すぐ近くの国であり、古くから交流があるにも関わらず、
中国の神話も日本人にはあまり知られていないように思われる。
中国における天地創造神話にもいろいろとあるらしく、
しかも、少数民族における神話もあるらしい。
ということで、ここでは、一般的な天地創造神話の
2つのパターンについて、簡単に説明しておく。
 1つ目のパターンは、天地の区別のない、混沌状態から、
天と地が徐々に分かれていくというものである。
何が天地を分かつかという部分で、若干の違いがあるが、
ここでは盤古という巨人が登場するものを紹介する。
まるで、鶏の卵のような混沌状態から、
鳥の雛が卵から孵るかのように盤古という巨人が生まれる。
それから18000年の後、混沌の中で、明るく澄んだものが上方に昇り、
天ができ、同様に、暗く濁ったものが下方へ降りて、地ができた。
このことによって、天と地の区別ができた。
盤古が、1日に1丈背が高くなるにつれて、天も1日1丈高くなり、
地は1日1丈厚さを増していった。
それから18000年の後、天は今日と同じくらい高くなり、
地も同様に厚くなり、天と地の差は、9万里となった。
こうして、今日の世界の土台は完成した。
そして盤古の死によって、
この世界は今日のものと同様のものになるのである。
盤古の手、足、体は山となり、血は河川となる。
左眼は太陽、右目は月となり、歯や骨が鉱物、岩石となった。
髪の毛や髭は星となり、体毛は草木に、肉は土となった。
汗は雨に、息は風や雲に、声は雷となった。
こういった、巨人の体から世界が誕生するというエピソードは、
北欧神話などにも見られる。
 2つ目のパターンというのは、実の所、天地創造神話とは違うのだが、
世界の姿という点において、1つ目との間に違いがあるので、
一応紹介しておく。
こちらの世界では、世界の四隅に天を支える柱がある。
その柱が、あるとき、折れてしまい、天空の一部が地上に落ちてきた。
それによって、地上は災害に見舞われ、大混乱に陥った。
その時、人頭蛇身の「じょか」という神が、5色の石で、天空を直し、
巨大な亀の四足を切り取って、東西南北の柱として天空を支える事で、
世界を元通りに直した。
この話とは関係ないが、中国では、
大昔、太陽は10個あったという伝説がある。
これは、中国における暦の数え方の十干という、
十日間を1旬とする考えによるものであるという。
一月を上旬、中旬、下旬に分ける考えである。
 モンゴルのブリヤート神話になると、上記のものの中では、
中国の神話とスラブの神話との融合のようにも見える。
最初、世界は混沌状態であって、その混沌の闇の中に、
創造神であるエヘ・ボルハンが浮かんでいた。
エヘ・ボルハンは、この混沌状態から天と地を分離しようと決めて、
手始めに野鴨を創った。
この野鴨が、水に潜り、くちばしに泥を挟んで戻ってくると、
その泥で、大地ウルゲンを創り、その上に植物と動物を創った。
最初の混沌状態は、中国に、
水の底の泥から大地を創るところは、スラブにそれぞれ共通している。
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