不思議な少年
小説
『不思議な少年』
『影をなくした男』
 『トム・ソーヤの冒険』でおなじみのマーク・トウェイン最後の作品。
解説によれば、アメリカという国自体は、開拓地が完全になくなり、
「開拓者気分」を捨てざるを得なかった頃、
マーク自身は、多額の借金を背負い、妻と娘を失くした頃の作品だという。
楽天的→悲観的になっていく国家と同調するかのように
「トム・ソーヤ」や「ハックルベリー」を生み出した作家が、
悲観的な作品を発表し始めた。
その流れの最後となった作品である。
 舞台は中世のオーストリアの片田舎。
三人の少年(おそらく14歳)が、不思議な少年と出会う。
彼の名はサタン。
かの「サタン」は彼の伯父さんだという。
自称天使。
彼の不思議な能力に魅せられ、虜になる少年たち。
だが、サタンは時に、平然と残酷な行為を行う。
それでも、彼のことが気になって仕方がない。
そして、サタンは徐々に「運命」というものの残酷さを少年たちに見せ始める。
そして、彼は終始人間をあざ笑い続けるのだった。
 サタンが結局何者であったか、という事についてはここでは述べない。
が、やはり、あの「サタン」であったというオチではないという事は言っておく。
 「天使」という存在が、「人間にとって都合の良い存在」などではなく、
「人間を超越した神に近い存在」であるならば、
サタンという意味深な名を名乗る天使は、
最も「本物」に近い天使であろうと私は思う。
「天使」にとっては、「人間」などという存在は実に取るに足らない存在であり、
時には、それを扱う態度が「悪魔」と変わらないのではないか。
「サタン」という名の「天使」には、そういった考えが込められていたのではないか
と私は感じた。
 サタンの人間評が正しいかどうかは人それぞれとして、
彼の言う事には共感できる点が多い。
マーク・トウェイン作
中野好夫訳
岩波文庫
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