仙べえ(A氏と共著)
『週刊少年サンデー』
1971年37号より連載開始
1972年3+4合併号で連載終了
単行本
小学館
藤子・F・不二雄大全集全1巻
 峯野家に伝わる「明治7年撮影」の古写真。
当時の峯野一家を写した家族写真の真ん中に立つ少年(当時10歳)は、
その後「仙人になる」と言い残し家を出て以来行方不明…、
結局、峯野家は彼の弟が継いだようなのだが…。
さて、彼が家を出てから「98年後」、弟の孫が一家の主となり、
家族を養っている時代、例の少年「仙べえ」は、白いあごヒゲ以外は
写真と変わらない姿で、何の前触れもなく峯野家に帰ってきた。
立派な仙人になって帰ってきたのかというと、そうでもなく、
いかなる時でも成功する術は「透視」と「お金を木の葉に変える術」ぐらい…。
それ以外の術は、たいてい失敗か「効果が裏返る」か「成功だが制御不能」…。
その為、峯野家の子供「モヤ夫」は「裏返る」事を期待して術を頼んだりしている。
(そんな時に限って上手くいってしまうのだが…)
彼が帰ってきた理由、それは明言こそされていないが、
住んでいた洞窟がダムの建設地に入ってしまった為だと思われる。
ダムの底に沈んだ、かつての我が家を仙術で目の当たりにして憤ったりしている。
よほど急な事だったのか、仙術の使い方が書かれた「仙術百科」を忘れてきてしまい、
それをダムの底から引き上げようとするエピソードもある。
まっ、つまりは、まだまだ半人前の仙人なのだ。
 この作品の特徴は、「仙べえ」という異質な存在が「血縁者」である、
という部分ではなかろうか?
たいていのF作品では、このような存在は少なくとも一家の子供(少年)とは
強い絆で結ばれ、家族にも受け入れられている。
しかし、仙べえはパパの祖父(モヤ夫の曾祖父)の兄という事もあり、
家族たちは少々遠慮気味で、距離を置いているように見える。
モヤ夫はまだ仙べえと行動を共にする事が多いが、それでも最終話ですら、
「今度は何をする気だろう?」とその行動に不安を覚え、
「この際、出ていってもらっては」というママの意見に反対もせず、
「この家を出る」と言う仙べえを引き留めもしない。
最後の最後、夜明けとともに旅立つ仙べえへ
「山へ着くまでにはお金もいるでしょう。ぼくの貯金を使って下さい」
という置き手紙と貯金箱を残し、その後ろ姿に
「さよなら仙べえさん」と窓から手を振る、その程度の絆しかないのである。
もっとも、「血縁者」との別れなんて、こんなものかな?とも思えるが…。
 そんな訳で、仙べえには峯野家にも、その周囲にも心許せる「友」は存在しない。
唯一、最終話で修行をやり直す為ともに旅立つ、昔なじみの仙人仲間、
久佐米仙人がいるだけである。
が、モヤ夫の憧れの女の子、竹子さんの家のパーティーに行った際、
竹子さんのお友達のインパクトの強い顔の女の子とは、かなり気が合っていた。
それにしても、久佐米仙人の生活は不幸である。
仙べえが山を降りた後、彼の住まいも別荘地として切り開かれ、大阪の子孫の元へ。
そこの、これまたインパクトの強い顔のかみさんに、
買い物やら内職をさせられながら、屋根裏住まい。
「これも修行の内」と言い張る久佐米仙人に比べれば、
仙べえは恵まれた境遇にいるだろう。
そう考えると、仙べえと峯野家との絆は案外深いのかもしれない…。
ストーリーと背景→F氏
作画→A氏
という描き分けらしい
踊るアリちゃんのGIF画像
走っているゴキちゃんのGIF画像
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