オバケのP子日記
『女学生の友』1966年1月号〜12月号
単行本
小学館
藤子・F・不二雄大全集
『オバケのQ太郎』11巻収録
 Qちゃんの妹P子が主人公の今で言うスピンオフ作品。
「界外留学」という形で人間の世界に住む事になったP子。
両親からの手紙を持ってQちゃんの元へ行くが、
大原家はQちゃん1人で大赤字。
下宿を探す事にしたが、
Qちゃんの相変わらずの非常識な探し方に呆れたP子は
自分で探す事にする。
第六感がひらめいた家は、
中学生と思われるゆかりさんと両親が住む家だった。
断りもなく家に上がり、
ゆかりさんが「人目をしのんで買ってきた」焼き芋を
勝手に食べながら「ここに決いめたっと」などと言い出すP子。
焼き芋を食べてしまった事を悪いと思ったのか、
大声で焼き芋屋さんを呼び、外に放り出される。
自分の第六感を少々疑うも、
「一押し二押し三に押し」と再び家に上がり込み、
「まぁ、しばらく交際してみてよ」と持ちかける。
「結論がでるまでひとりにして」と言われて引き下がるも
TVに入り込み選挙カー並に自分をアピールし、
さらに、ゆかりさんに化けて
「あんなかわいいオバケとくらせるなんてしあわせだわ」
などと言い出す始末。
なんとまぁ、さすがは兄妹と思わせる図々しさ。
結局、この「化ける能力」で、
「お説教の時の身代わり」を務める条件で交渉成立。
こういう条件を「おやす〜いご用」と引き受けられる辺りが
Qちゃんとの違いだろうか?

 知名度に圧倒的な差があるため忘れられがちだが、
P子はドラミと同レベルの賢妹キャラである。
とは言え、第1話で「あたしの苦手はお料理おさいほう」
と意外な弱点を告白している。
このジャンルでは「家庭科専門」と言われるドラミが一歩リード。
余談ながら、ドラミは初登場時、ドラえもんのポケットの中が
整理されていなかった事も原因のようだが、
思い通りの道具をなかなか取り出せず、
ドラえもんに「ドラミは機械に弱いんだな」と言われている。
P子はオバケ学校で優等賞をもらっており、
正ちゃんの宿題くらいなら軽く解いてしまう。
また、ドロンパが感心するほど文学に精通しており、将棋も強い。
Qちゃんに「お話してあげよう」と言われ、
リクエストしたのは「現代物理学の未来について」…。
こちらは「新ー」のエピソードになりますが、
家族サービスをしようとやってきたQちゃんに対して
「コンピューター講座が始まるのよ」と言う場面も。
現在ならともかく、70年代にコンピューターに
目を向けているって…。
また、その直後、Qちゃんに「どこへ行きたい?」と聞かれ、
「プリンセスホテルでファッションショーがあるの」と答えたり、
髪の毛一本でできるステキなヘアスタイルを模索するなど、
女の子らしくファッションにこだわる一面も見せる。
ドラミを「お嫁さんにしたいタイプ」だとするなら、
P子は「自立した格好良い女」といった所だろうか?
実際、年上であるQちゃんとドロンパのケンカを仲裁したり、
Qちゃんはもちろん、ドロンパにだって
注意をする事ができる「しっかり者」なのだ。
そういえば、ドロンパに求婚された事もあったっけ。
その時には
「ただの奥さんにはなりたくない」
「作家になってノーベル文学賞がとりたい」
なんて事を言っていた。

 さて、そんなP子と、年齢なりにわきまえてはいるが
ややおてんばなゆかりさんとの関係は、
対等同士のQちゃんと正ちゃんとは若干異なる。
P子は常にゆかりさんを助け、
ゆかりさんはP子を上手く利用しつつ、時に年上らしい態度をとる。
お互いが「年上のつもり」の関係。
と言っても、機転の利くP子が一枚上手という印象が強い。
掲載誌が少女向けという事もあり、
同級生の岩見君とのエピソードも多く、
後の「エスパー魔魅」や「チンプイ」に近い作品と言える。
正直、Qちゃんより面白いです、個人的には。
この連載により、後にサンデー版で
「P子も人間の世界に出てきて近くに住んでいる」
という設定が生まれ、P子がちょくちょく現れるようになり、
一度だけながら、ゆかりさん一家まで登場する事になるのである。

 初登場時のP子は、あまり可愛くなく、
この連載の中で現在の姿になっていきます。
変わった点は体型と口。
当初の体型はQちゃんの縮小版のようで、
顔の下に若干胴がありスカートとなっていました。
それが後に、丸い頭部にスカートという体型になり、
ほぼ胴の部分がなくなります。
口のすぐ下がスカートという感じ。
それによって、丸っこくて可愛い体型になりました。
口については言わずもがな、
逃れようのない「遺伝」という悲劇…。
当初はQちゃん並に大きな口が
「可愛さ」を阻害していたのですが、
いつの間にか半分くらいのサイズに縮小されています。
たったこれだけで可愛くなるんですから、
デザインって奥が深いですね…。
そうそう、一応年齢も明らかになっていまして、
Qちゃんが「七五三」をしたいと言いだした際、
その話の掲載時、連載開始から数えてQちゃんは「3歳」で、
「男の子は5歳」と言われ、P子を連れてきて
「足して5歳」と言っていました。
よってP子は(その時点で)「2歳」という事に。
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