ベラボー
『まんが王』
1968年7月号〜1969年11月号
『別冊まんが王』1969年春季号
単行本
小学館
藤子・F・不二雄大全集全1巻
 この作品を初めて読んだのは(と言っても1話だけですが)
中央公論社から80年代中〜後半に出版されていた藤子不二雄ランドの巻末。
この掲載スペースには、A氏の「ウルトラB」や
F氏の「チンプイ」といった新作だけでなく、単行本化されなかった作品も
いくつか掲載されていたのでしょう。
なので、当然、全話を読むのは、この大全集が初めて。
当時、作者名に「藤子不二雄としのだひでお」と書かれていたように、
この作品では、ベラボー、一郎とその両親、以外は
しのだひでお氏が担当されていたようです。
なので、ヒロインのミドリさんなんかはFキャラっぽくないのです。
以上、前置き。
 ある日、浦島一郎はどこかへ隠すべく、
風呂敷に包んだ大量の漫画を背負って町を歩いていた。
その際、たまたま言葉をしゃべり、二本足で歩くカメを見かけた。
「ベラボー」と名乗るそのカメは、頭をふくらませて空を飛び、
口から空気砲のように息を吐き、その甲羅は核爆発にも耐えられるという。
そして、指先でチョンと頭に触れるだけで人の記憶を消す事もできる。
(もちろん、戻す事も可能。)
彼は空飛ぶ円盤を探していたのだが、その円盤は既に地球を飛び立っていた。
彼のご主人である宇宙人は、ベラボーを連れて、1万5千年かけて地球へやって来た。
目的は不明だが、とにかく日本の地底に別荘を作っていた。
その途中で、家の戸締まりを忘れた事に気付き、慌てて帰ってしまったのだ。
再び戻って来るのは3万年後。
地球に置き去りにされたベラボーは、一郎と友達になり、
彼に、3万年留守となる地下別荘を貸す事にするのだった。
この別荘、日本中に及ぶ規模らしく、
北海道から九州まで続くハイウェーを備えており、
日本中、たいていの場所へ10分程で移動できるのだ。
さらに、管制室や武器庫などもあり、さながら地下秘密基地と言っていい施設なのだ。
ここに入るには、地上の様々な場所に設置された、出入口の目印である
「赤い石」の周辺でピョンと飛べば良い。
この別荘は後に一郎のクラスメイト達にも開放され、
「ベラボータウン」と呼ばれるようになる。
そして、多数決により、一郎は町長となるのであるが、
何かあれば「町長なんとかしろ!」と言われるような損な役回りである。
ベラボータウンの各部屋に備え付けられたイメージボタンは、
イメージしたモノを実在化できる装置で、これを利用して一郎達は様々なモノを作り、
ベラボータウン限定の架空の通貨で商売ごっこもしている。
 ベラボーの甲羅は若干メカメカしく、生物というよりは
ロボットやサイボーグのように見える。
そのせいか、性格は決して優等生ではなく、一郎の為だと、
両親や先生、クラスメイト達の記憶を勝手に消して、一郎に服従させたりして
一郎を怒らせたりもしてしまう。
また、どちらかと言えば、短気でケンカっ早い。
 他の作品との違いとして、一郎の両親がやや特殊である。
たいていのF作品では、パパが太めでおおらか、ママが細めで厳しい、
といった傾向にあるのだが、この作品だけは逆。
パパは細めでメガネを掛け、自身が一流会社の課長に出世した事に誇りを持ち、
一郎を自身と同じように教育しようと考えている。
そのせいか、割と怒りっぽくカリカリしている。
一方、ママは太めで、パパが漫画の事で一郎にお説教している時に
漫画を読んでゲラゲラ笑い出すような、おおらかな性格。
こういった、両親のキャラの違いがある為か、ケンカっ早いベラボーと、
合理的思考に塗り固められて、頭の硬いパパが対立する展開が多く見られる。
 この作品もまた、ベラボーが帰る訳でもなく、何となく終わってしまう。
(上に書いたように、3万年経たないと、ご主人は戻ってこない訳だし…。)
こういった場合、特に宇宙人系のキャラだと、彼らの失恋ネタが
最終話に使われる傾向にある、ような気がする。
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